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2008/2/25

第7回国連研究会から -MDGs達成に向けた現状と課題(1)

2008年1月28日
於 日本財団ビル2F会議室


<村田俊一・UNDP駐日代表の報告>
【村田】 ミレニアム開発目標(MDGs)の原点は、日本の政府が提案したところから始まって、やはりグローバルな枠組みというのが散乱している中で、もう少しまとめ上げていこうという形で、たしか1996年だと思いますけれども、その辺から始まった結果が、MDGという形であらわれてくるわけでございます。
 開発目標の中で見てみると、日本のODA、それから日本の経験というものが随分生かされた目標が入ってまいります。その中でも、やはり貧困と飢餓。私たちが日本の戦後の状況を見てみますと、私は日本赤十字幼稚園なんていう、NGO幼稚園に所属し、そしてケアというアメリカのインターナショナルNGOからミルクを、今だと脱脂粉乳というんですか、非常ににおいのきついミルクを飲んでいた時代です。私は福岡県生まれですけれども、あまりものがなくて、しかし教育には非常に熱心である日本の初等教育、それから特に乳幼児死亡率の高い状況の中で、衛生的なものに対する日本の母子手帳というものが出てくるわけですけれども、そういった中で、高度経済成長を迎えて、そしてなおかつ水俣病、公害というものが生まれるわけです。
 その中から、経験から生まれた日本の1つの環境というものに対する大きな経験から、MDGというものが随分反映されてくるわけでございまして、環境問題はまさにファッションじゃなくして、現実に日本政府、日本国民が経験した中での非常に切実なる思いが、グローバルな政策として反映されてきているということもいえると思います。
 このミレニアム開発目標の中で、UNのいろいろなエージェンシーがございます。WHOもありますし、UNDPもありますし、ユニセフもありますし、ユネスコもありますし、いろいろなエージェンシーがあるんですけれども、そのエージェンシーのアジェンダが全部入っている。これをまとめ上げるにおいて、やはり協力するという意味で、どういうコモンアジェンダがあるかといったら、この8つなんです(編者注、下記の図参照)。


 今、私たちが一番力を入れているエントリーポイントは、7つまではわかったと。じゃあ、これを達成するために、どう協力するのかという8番目なんです。1国で解決できる問題ではないから、パートナーシップをNGOと組んだり、国連と組んだり、そして民間セクターとしてどういう試みができるかというものをアフリカで実践しよう、アジアで実践しよう、どのようなグッド・プラクティスがあるのかということが、今だんだん話し合われてきているわけです。
 これは、1996年DAC新開発戦略、日本が中心となって具体的な数値目標設定が提案された。それから98年TICAD?が始まるんですけれども、このときに現高村外務大臣が外務大臣であるということで、高村外務大臣は非常にTICAD?に関しても力を入れていただいております。流れとして、こういうふうな流れが今までずっとあって、ただ、突然ミレニアム開発目標というものが出てきたわけではないということを、歴史的な背景として説明しているわけであります。
この中で、重要になるのは、やはりミレニアム・プロジェクト、強力な知的な研究に裏づけられたアクション・プランを打ち出すということなんです。その研究成果を世界のリーダーの間で広めることによって、政治的なコミットメントを高めるだとかいうことをいわれているわけで、MDGの達成状況のモニタリングは、大体UNDPと世銀が協力して、途上国で実施されているといえます。
 まだ日本では定着しているかどうかというのは、研究機関や、それから政策立案に従事されている方々、それから特に外務省の方々はもちろんMDGの達成の取り組みということに関しては、TICAD、アフリカ開発会議がございますので、その辺から随分浸透している、それからまだMDGsとクライメットチェンジというものをくっつけながら、メディアのほうでも非常に熱心に啓蒙する活動が出てきたわけでございます。途上国においては、高い政治レベルのコミットメントが、国家開発政策にMDGsの達成のために戦略や計画を反映すると。あるいは、MDGプラスなんていう独自の目標を設ける、これはタイなんですけど、あらわれてきたということで、途上国においては国内の議論が相当今、進んでいるわけです。
 後でちょっとお見せしますけれども、これがどういう形でグローバルなレベルにつながってくるかというと、こういうことになるわけです。これを見たらおわかりと思うんですけれども、これはMDGの進歩状況なんです(編者注、パワーポイントによる説明)。ちょうど今、折り返し地点で、15年までに半減するとなっていますので、貧困状況を半減するという折り返し地点において、アフリカのサブサハラのところを見ていただきます。ということは、今、気候変動のことに関しても一番影響を受けるのは、サブサハラの国だという状況なんです。
 当然ながら、アジアの貧困状況は随分よくなりつつある。サブサハラをちょっと見てみますと、やはりHIVエイズ関係が非常に悪化している。今度G8でもヘルスのことだとか、水のことだとか議題に入るわけですけれども、これを視点として、日本がこれからの外交政策、それからODAを進める際に、やはり日本の援助の性格化は、一番サブサハラの国々に対する支援も注意をはらうべきじゃないかと考えられます。
 この状況というのは、皆様コンピューターをお使いになると思いますので、今、MDGのWeb Page(http://www.mdgmonitor.org/)で紹介してみましょう。
 ちょうど今、ローディングが完了しまして、こういうふうにして出てくるわけです(編者注、コンピューター操作)。世界地図が出てきまして、ここにずっと、1番目はpoverty、2番目education、3番目等々というのは、MDGsの目標が8つまで出てきます。それで、povertyに入ってみましょう。こういうふうに出てくるわけです。こういうふうにナイジェリアをポイント・アウトするとナイジェリアが出てくるわけです。Educationにいきますと、すと、こういうふうになる。これは98%、それから95%、色分けしまして、それでこれはenrollment ratioですから。こういうふうに変わってくるわけです。
 これは、どういうところにリンクしているかといいますと、UNDPのhuman development report、人間開発報告書の中で、識字率と、それから要は長生き、longevityです。それと最低限の人間の生活の糧というのはどうなっているかというのなんですけれども、やはりこう見てみると39.6%しか、net enrollment ratio in primary education, both sexesになってくると、非常にこれはenrollmentの率が低いといえるんでしょうね。今度はgender。gender parity を見ましょうか。当然ながら、非常にgender parityは高いです。これはギニーです。
 こういうふうにして見ていきますと、今のMDGsのdateが、これはコンスタントにアップデートされていますので、いろいろ調べることができるんです。これはenvironmentです。Land area covered by forest(%)。この辺、ちょっとブータンにいってみましょうか。私が赴任していた国ですが。68%です。すばらしいですね。やはりグローバルな問題を、みんなでもう少し考えてみようという試みから、こういったWeb Pageがつくられたんです。すばらしいと思います。
アメリカでも、これは2005年で33.1%ですか。非常に少ないじゃないですか。ブータンにいきますと、68%でしょう。じゃあ、ちょっとこの辺にいってみましょうか。サウジアラビア1.3%、こんな開きがあるわけです。ちょっとフィンランドのほうにいきましょう。フィンランドは73.9%です。スウェーデンは66.9%でしょう、こういう国々を見てみると、環境政策が一目でわかります。ブラジルにいってみましょうか。57.2%。どんどんdeclineしていますけれども。
  日本ですか。68.2%です。悪くないですね。平均的にみれば、非常に高いです。ここは大体50%or moreと書いていますから。南アなんて7.6%です。びっくりです。砂漠化が進んでいるところが、やはりパーセンテージが低いですね。当然ながら、この辺のサブサハラの国は低いです。
 ということで、この辺でちょっとモニターを止めます(編者注、コンピューター操作)。このモニターはwww.mdgmonitor.org/に入っていただければ、いつでもUNDPのツールとして使用できるようになっております。大いに利用していただければと思います。
 あまりマイナスな話ばかりをするのもなんですので、大体2015年、1ドル未満で生活する人口は半減するターゲットが達成できるかどうかというのは、今の調子でいくと、ひょっとしたらということなんです。90年からみると、だんだん減ってきているんです。1日1ドルで生活するのは減ってきている。ただし、ケニアの事件ございましたね。経済学的にみるとGNPそれからGDPを見ると平均なんですけど、要は分配がどういうふうに行われているかという社会構造の問題があるわけです。1日1ドルで生活している人というのは、要は社会構造の中でどういう層を占めているかということも、すなわち国内の格差を観察するということが、これからMDGの中でも大切になってくると思うんです。
 これはやはり地域のギャップというものを見ているわけでございます。これはユニセフからいただいてきたデータで、カンボジアで、これは全部足すと100%以上になるんですけど、100%の21%と考えてください。このカテゴリーの100%の21。ここでやはりヘルスワーカーがカンボジアの場合に妊産婦にアテンドしているratioというのは、当然ながら一番リッチなグループを100%として、90%、すなわちほとんどみんなアテンドしている。一番貧しい人は20人、10人いたら2人いるかどうか、そういうふうな統計なんです。
 申し上げましたとおりに、MDGの中でもアフリカの国々は、ナイジェリアやガーナやケニアや、要は経済的に発展している国もあるが、その国だけの統計を見ずに、その経済構造と社会構造と、その政治のガバナンス形態と分配構造を見ないと、MDGsがいくらマクロで達成されているといっても、国内のやはり弱者というものの救済になっていないという警鐘を鳴らしているわけです。
 それで、MDGs達成というのは、そんなにお金がかかるものか、ということなんです。そんなにお金はかからないという意味合いなんですけれども、この中でODAが現在の水準で推移すると、2015年に740億USドルの資金ギャップが生じるということなんですが、ODAだけがこのギャップを埋めることはできない。しかしそのgapは、それほど大きなお金じゃないんですよ。松下電器の売り上げが786億ドルぐらいなんですから。
 これが気候変動のほうにも関連してくるわけですけれども。MDGの達成に向けて、今後の課題だとか、新たなる試練という中で、やはり栄養不良に苦しむ人の数は2,080万人、さらに6億人増加するおそれがあったり、要するに気象の上昇によって、いろいろなところからいろいろな弊害が出てくるというところなんです。今、世界で1日2ドルで生活する人が、大体23億人以上いるとします。その中で、アジアの人口が一番多いですから、アジアのほうが国内においては2ドルで生活しているほうが多いわけです。国別にいいますと、国という意味ではアフリカが多いんですけど。人口という意味では、アジアのほうが多いんです。人間開発報告書にまとめていますが、人間は水は必要なんです。だからクリーンな水は、日本は水道の水を蛇口をひねって飲める、そういう国というのはあまりないんです。おそらく、私が調べたところによると、やっぱり二、三カ国ぐらいしか産業国でもそのまま飲めて、下痢しないで飲める水というのは、日本とアメリカくらいではないでしょうか。下痢をとめるのはクリーンな水が必要で、お医者さんに行くにも、クリーンな水がないと病気は治らないんです。感染はもっと広がっていく。クリーンな水がないと、絶対にコレラが、マラリアが、そしてデング熱がと広がっていく可能性があるので、やっぱり水をエントリーポイントにする人間の、要は生活状況というものを、もっと深刻に見る必要があるんじゃないかと、今国連の中でも警鐘を鳴らしている次第です。
 後で質問にお答えしますけれども、最終的には増大する健康のリスクというのが、一番やっぱり人間の生活の中で、気候変動もひっくるめて非常に大切な課題であるでしょう。人の健康とそのリスクというのは増大するんだというところに、最終的には落ちつくんじゃないかと思っております。今まで貧富の差だとか貧困だとか、それから独裁政権の関連を考えてみますと、多元的に重なってきて、やはり戦争が起こったり、紛争が起こったりしているわけです。その中に隠されているものは、人間が人間らしく生活できないような状況が長期にわたると、やっぱり社会暴動をして爆発してしまう。歴史的に人間がたどってきた紛争の原点は、貧困ではないでしょうか。資源管理をめぐる紛争であったり、それが水であったり、オイルだったり、いろいろあるんでしょうけが、それから土地問題であったり、そういったものから絡み合ってくる人種差別であったり、宗教問題であったりするというところから、どこからエントリーポイントを求めるかというのは、やっぱり貧困問題からい分析してみようというので、MDGsの中では貧困が最初にくるわけです。生活できなければ、紛争になるわけです。 ということで、じゃあ途上国と産業国において、リスクの割合というのはどのくらいかというのを計算してみますと、やっぱり途上国のほうが19人に1人、非常に高いです。OECD諸国においては1,500人に1人ということで、途上国において、なぜこういうことになるかというと、やはり自然に頼りながら生活している、農業しているということが多いわけです。それから技術革新の状況やそれから、やはりそれに災害が起こった時点での対策等々を計算してみますと、途上国の人のほうが圧倒的に被災する確率が多いということです。
 私はMDGsの中で、特にTICADとかG8が開催される中でやはりパートナーシップを考えて、いかに同歩調を整えるかとが大切だと思うんです。要は、産業国も受益国にとっても、やはりその受益国が求めている非常に消化しやすい形でのパートナーシップの組み方というのは、どういう組み方があるのか。達成する段階において、どういう計画のやり方があるのか。気候変動だとか、広がる貧富の格差をどういうふうに脅威として受けとめるのか。それは今、MDGsのモニターで紹介したみたいな形で、これをどういうふうに啓蒙していけるのか考えてみたい。


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