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タイプ
レポート
プロジェクト

第66回「先端医療にルールはいらない? ~生命倫理の法律がある国、ない国」

日時
2013/10/17  18:00-20:30 [終了しました]
場所
日本財団ビル2階 会議室
担当
冨田、井野、堤

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 ● 告 知 文 ● 
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人の生命と身体に深く介入する先端医療の、何がどこまで許されるのか。この問題を考えるために生命倫理という言葉が生まれ、日本で使われるようになって30年になりました。

そうしたなか、iPS細胞を使った再生医療、体外受精や卵子の凍結保存などの生殖補助医療、胎児の遺伝子を調べる新型出生前診断といった先端医療は著しく進歩し、私たちの生活に身近なものとなってきています。

倫理が人の内面の問題にとどまるだけでは、守られる保障がないので、ときにその内容を法律にして、社会のルールとして確定しようという動きが出てきます。とくにヨーロッパでは生命倫理の立法が盛んですが、日本ではこれまで非常に消極的で、新しい問題が出てくるたびに、対象をごく限った役所の指針をつくってしのいできた観があります。

しかし最近、それでは対応しきれなくなって、「生命倫理基本法」をつくるべきだという声が、政府の審議会などで出始めています。

生命倫理の基本とは何か? それは法律にできるものなのか?
生命倫理サロンでは、これまで三年間、そのときどきで話題になり問題とされた、様々な分野の先端医療の倫理について語り合ってきました。その経験を踏まえ、今回は、考えるべき生命倫理の全体像について見取り図を示し、東アジアで唯一、「生命倫理法」をつくった韓国の例を参考に、倫理を法律にするということについて、みなさんでじっくり話し合ってみたいと思います。


プログラム

  1. 生命と身体に介入する先端医療 ~問題の見取り図と日本のこれまでの対応
    ぬで島次郎(東京財団研究員)

  2. 韓国・生命倫理安全法の10年 ~何を・なぜ・どのように
    洪 賢秀氏(東京大学医科学研究所)

  3. 法と政策の識者からコメント
    青柳幸一氏(明治大学教授)

  4. 参加者全体で自由討議 ※録画に(4)は収録されていません。

◎ USTREAM 東京財団チャンネルでも過去に実施したイベントの録画をご覧になれます。
  http://www.ustream.tv/channel/tokyofoundation  ※ 映像が映らない場合は、お使いのブラウザの「再読込」または「更新」ボタンをクリックしてください。

参加者からのコメント

  • 韓国における市民団体の活躍ぶり、原動力がよく分かり良かった。日本は法規制がなくともルールが守られるというコメントが新鮮でしたが、産科婦人科学会での会告破りの例もあり、必ずしも規則が守られているわけでもない現実があります。日本は一部の関係者のみが盛り上がるものの、しょせん他人事という国民が多数派で法制化に至らないのではないでしょうか。(女性)

  • そもそも生命倫理に対して法で規定すべきものなのかどうか、もう少し議論する時間があれば、と思いました。
    国の枠組みを超えて医療を受けられる今、国の規定する法律ではなく、一人一人が生命倫理に対して向き合い答えを出していくべきで、国が生命を法で決めるのは非現実的に感じました。(女性)

  • 厚労省委員会や学術会議が行ってきた議論が一向に統合されない状態下で、事実上先行的に部分的な追認が重ねられていることに、大きな違和感と焦りを感じています。法や政策というものを社会がどう考えているか自体を考える機会がもっと必要だと思います。本日のスピーカーの出過ぎない姿勢は非常に安心できるものでした。(女性)

  • 本日のサロンの主題は、「人」と「モノ」の線引きをどこに置くかだったが、法律的にはモノであっても、感情的にはそう捉えるのが難しいケースが多々ある。よって、人とモノに2分化すること自体が、少々乱暴ではないかと感じられた。また、韓国が生命倫理を立法化できた背景が大変興味深かった。立法とその国の文化・歴史・国策を分けて考えることはできないと痛感した。(女性)

  • 法律の話にまで発展しなかったのは残念でした。個人的には規正法ではなく、禁止法でないとあまり効力は期待できないかなと。また、「生命倫理」という言葉の限界を感じます。「生命」という言葉のあいまいさ、「倫理」という言葉の馴染みのなさ。日本人の感性に強く訴えるためには「人命操作道徳」という直接的な表現の方がよいのでは?(男性)

  • とても難しい内容でしたので、価値基準によって本当に考え方が変わる内容だと思いました。なので、教育するにしても、もっと本来の日本の文化、歴史、色々なことを学んでからでないと今の若者は特に選択を間違える気がします。(女性)

  • 日・韓・欧・米の法律的な背景、その思考的基底を踏まえた現在の状況の概観が理解できて面白かったです。洪さんの指摘されていた東アジアとの対話という点から中国の現在の生命倫理の動向についても機会があれば扱っていただきたいと思います(ツーリズムの絡みからも喫急のテーマかと)。(男性)

  • アジアの他、米国、EUなどの文化の風土の違いも学んでみたかったです。しかし、「ルール」の設定、政策のボトルネックが「何か」がよく分かりました。着手の難しさ、どこで割り切るのかetc…。受精の時点で人権が重要視されているのに、中絶も多いといった仏国の不思議な現象が印象的でした。(女性)

  • たくさんの論点がでたが、どれか一つにしぼって議論を深めるという方法もあってよかったのではないか思った。(男性)

  • 3人のスピーカーの知見が深く興味深かった。参加者の質問は脳死から動物保護、死体損壊まで多岐に渡ったが、良くかみあっていた。韓国では最初に枠組みが作られ、その背景には先進国化を望む政府の意向があったことが理解できて興味深かった。今後、韓国がその枠組みでどう動いていくのか、また教えて頂きたい。(女性)