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2008 9.13 SAT

食のリスク・コミュニケーションに関する有識者会議

中国産餃子や汚染米など、食の安全を問う事件が次々と起こる中、新しく設立される消費者庁や既存の内閣府食品安全委員会のあり方に関心が集まっています。食の安全について、政府は国民とどう向き合い、どのように信頼を得ていくべきなのでしょうか。

こうした問題意識のもと、東京財団では、去る9月13日、味の素株式会社の後援、リテラジャパンの協力を得て、「食のリスク・コミュニケーションに関する有識者会議」を開催し、食の安全性を巡る問題、政府と国民のコミュニケーションの在り方、政府とマスコミの関係などについて専門家による議論を行いました。

今回の会議では、英国上院議員で食品基準庁初代長官であるジョン・クレブス卿及び元欧州委員会政策顧問局メンバーや元米国食品医薬品局専門官など欧米の専門家をお招きし、日本側からは、食品安全委員会、厚生労働省などの行政関係者、研究者、企業関係者、消費者関係者、マスコミを含む15名ほどがパネリストとして参加しました。

会議では、まずジョン・クレブス卿より、1990年代後半、BSE(牛海綿状脳症)の発生後、パニックに陥った英国社会において、2000年に設立された食品基準庁が、どのようにBSEのリスクを国民に説明し、理解と信頼を得ていったかのコミュニケーション過程をお話頂きました。次に日本の現状について、その問題点を洗い出し、どのようにリスク・コミュニケーションを行っていくべきかを議論しました。

日本では、2001年に初めてBSE牛が発見されて以降、政府は全頭検査を政策の主軸として、自治体に補助金を出してきました。生後20か月以下の牛については、その安全性が確保されたとして今年7月末をもって、BSE検査のための補助金がカットされることになりました。しかし、安全性に対する一般国民の理解は進んでおらず、自治体では、独自予算で全頭検査をする方針です。

こうした現状を踏まえ、日本側出席者からは、政府広報のあり方について英国での事例と比較して、科学的知見に頼りすぎた結果、国民との相互コミュニケーションが不足していたのではないかとの意見が出されました。

東京財団は、今後とも人間の根源にかかわる食の問題に対して議論を重ね、問題提起と政策提言を続けていく予定です。

◆配信記事
Food Science プレミアム (2008年9月16日)

文責:大沼瑞穂

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