東京財団政策研究所 Review No.6

公益財団法人東京財団政策研究所のリーフレットです。非営利・独立の民間シンクタンクとして、外交・安全保障、経済・社会保障、環境・社会分野の政策提言・普及活動と、国内外で実施する各種人材育成プログラムを行っています。


>> P.6

06再資源化における行動計画本来、再生された資源(Secondaryrawmaterials)は、鉱山などから採鉱されたばかりのもの(Primaryrawmaterials)と同様に経済活動の中に投入されるべきものである。しかしながら現状、EUでの再生資源の活用率は低い。そのためCEPにおける再資源化計画では、再生資源市場を構築・拡大するため、主に以下の5つの計画方針が示されている。・再生資源の質についての基準(特にプラスチックの質の基準)の開発に取り組むとともに、再生資源が有効に市場に循環するよう、廃棄物ではないとする基準を明確にし、EU内での「廃棄物の終了(endofwaste)」基準のばらつきを減少させる・リン鉱石など鉱石由来の肥料への依存を解消するため、有機肥料および廃棄物ベースの肥料の承認を促進する・EU内の水不足に対処するため、再利用される水の最低限の要件に関する立法案を含めた、水の再利用を促進するための一連の行動をとる・再生資源のEU内における国境を越えた活用を促進するため、製品に含まれる有害性が懸念される化学物質の削減とその流通状況を追跡する仕組みの改善を行う・EUにおける原材料の政策や生産状況、開発動向などの情報を閲覧できる情報データベースシステム(RawMaterialsInformationSystem:RMIS)をさらに発展させ、原材料の流れに関するEU全体の研究を支援する重点個別分野:クリティカルローマテリアルズ(CRMs)CEPでは、CEの構築にあたり特に対処が必要な分野として、プラスチック、食品廃棄物、クリティカルローマテリアルズ(CriticalRawMaterials:CRMs)、建築廃棄物、バイオマスの5分野を重点個別分野としている。このうち、鉱物資源についてはCRMsの分野となる。CRMsとは、ハイテク製品にとって特に重要な物質で、例えば、スマートフォンの軽量化、小型化に欠かせない様々な鉱物などがそれにあたる。CRMsには、気候変動問題への対処のため普及が必要な、ソーラーパネル、風力タービン、電気自動車、エネルギー効率の高い高効率照明などの製造に欠かせない鉱物も含まれており、その需要は2030年までの共同使用(シェアリング)の実施なども示されている。廃棄物管理における行動計画CEPでは、廃棄物管理はCEにおいて中心的な役割を果たすとし、有価物の価値が循環サイクルの中で可能な限り残るように、EUの廃棄物階層に沿った管理の改善、投資を導くための長期的なビジョンと目標の提示が、廃棄物管理における行動計画の主な目的とされている。ECの「廃棄物に関する指令2008/98/EC(廃棄物枠組み指令)」(EC、2008)では、廃棄物階層(wastehierarchy)という廃棄物の管理および処理に関する優先順位が定められた。それによると、①発生抑制(prevention)→②再利用のための準備(preparingforre-use)→③リサイクル(recycling)→④エネルギー回収などの他の回復(otherrecovery,e.g.energyrecovery)→⑤廃棄(disposal)、という流れが廃棄物階層の優先順位とされている。この順位中、②再利用のための準備とは、廃棄物となった製品や部品を他の前処置なしで再使用できるよう、回収時の確認、洗浄、修理することを意味する。また、③リサイクルは、どんな利用目的であろうと、廃棄物が製品、材料または物質に再処理されるあらゆる回収作業を意味する。但し、それには燃料・エネルギーとしての回収、埋め立てのための材料への再処理は含まれない。燃料・エネルギーとしての回収などは、次の階層である④エネルギー回収などの他の回復、での対処とされている。こうした廃棄物階層を念頭に置いて、廃棄物管理の目的を達成するため、・EUの廃棄物目標の見直し(廃棄物法制の改正指令案)・加盟国と協力して、廃棄物の焼却、機械的-生物学的処理などの現場における廃棄物管理の改善・EU間の地域間格差の解消や地域発展を促すための結束政策投資が廃棄物階層に従いEUの廃棄物規制に貢献するようにするなどを主要な取り組みとしている。また、廃棄物法制の改正指令案では、・2030年までに市町村の廃棄物の65%をリサイクルする・2030年までに包装廃棄物の75%をリサイクルする・2030年までに市町村の廃棄物の埋め立て率を10%まで減らすなどの具体的な数値目標も示されている。廃棄物管理と再生資源市場構築・拡大における適正な行動計画を!特別レポート


<< | < | > | >>