東京財団政策研究所 Review No.6

公益財団法人東京財団政策研究所のリーフレットです。非営利・独立の民間シンクタンクとして、外交・安全保障、経済・社会保障、環境・社会分野の政策提言・普及活動と、国内外で実施する各種人材育成プログラムを行っています。


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08を優先的に取り組むべきかという優先順位と、誰がその責任を負うかという2つの基本的な考え方が示された。また、施策の対象として、廃棄物(廃棄物処理法における廃棄物、使用済み・収集・廃棄された物品、および副次的に得られた物品を含めたもの)、および循環資源(廃棄物のうち有用なもの)を、その対象とすることが示されている。施策では、まず最も優先されるべきものとして、①廃棄物の発生抑制があげられている。そして、それに続くものとして、②再利用(リユース:循環資源をそのまま繰り返し使うこと)、③再生利用(マテリアルリサイクル:循環資源を原材料として利用すること)、④熱回収(サーマルリサイクル)、⑤適正処分、が優先順とされている。また、責任の負担については、これまで市町村が負ってきた廃棄物処理に関わるすべて、または一部を、製品の生産者が負う拡大生産者責任があげられた。こうした循環基本法の趣旨を具体化するための実施法として、自動車リサイクル法、建設リサイクル法、食品リサイクル法、小型家電リサイクル法、家電リサイクル法、容器包装リサイクル法といった個別のリサイクル法が施行されている。そして、国・地方公共団体や独立行政法人などが、物品や役務の調達にあたり、循環資源の再利用・再生利用により得られた製品や原材料を率先して選択することを目的としたグリーン購入法も施行された。一見すると日本の循環基本法はCEと似通った資源循環を促すものに見える。しかしながら、循環基本法の趣旨を具体化するために施行された個別のリサイクル法における再商品化、再資源化は、循環利用ができる「状態にすること」という準備行為にとどまっている。故に、循環基本法の趣旨である、再利用(リユース:循環資源をそのまま繰り返し使うこと)、再生利用(マテリアルリサイクル:循環資源を原材料として利用すること)とは、乖離しているという課題がある。また、個別リサイクル法による再商品化、再資源化は品目別に実施されることから、品目から漏れた製品は対象とされないという課題もある。さらに、循環基本法における取り組むべき施策の最上位にある廃棄物の発生抑制について、現行法では関係主体に対する責務を課すにとどまっており、具体的な政策により発生抑制を行う事例は少ない状況にある(黒川、奥田、2015)。日本の施策は、欧州のCEのように経済モデルを根本的に変革する趣旨のもすなわち、ISOで議論されている様々なCE構築のための標準化内容は、欧州のみならず世界的な国際標準として、従わなければならない拘束力を持ったものになる可能性がある。日本の循環型社会構築と欧州のCE欧州がCEの構築とその国際標準化を目指す中(EC、2018)、日本における循環型社会の構築は、環境基本法の下で2000年に制定された「循環型社会形成推進基本法」(以下、循環基本法)とその実行法によって推進されている。循環基本法では、循環型社会構築について、なに図1●日本の資源循環体系の概観図2●欧州(CEP)の資源循環体系の概観●廃棄物階層に沿った廃棄物管理の改善●廃棄物目標の見直し(廃棄物法制の改正指令案)●廃棄物規制における結束政策投資の活用●鉱山採掘廃棄物に関するガイダンスを発行●価格に製品の環境コストを反映●公共部門のグリーン調達●耐久性・修理・スペアパーツの情報提示●「偽のグリーン宣言」への対処●「計画的陳腐化」への対処●共同使用(シェアリング)の実施●高耐久性設計●修理、アップグレード、再製造が容易な設計●リサイクルしやすい設計と経済的インセンティブ●「産業共生」の促進●再生資源の質の基準の明確化●肥料に関するEU規則の改正●水の再利用を促進●有害物質の削減とその流通状況を追跡する仕組み●RMISの発展廃棄物管理生産グリーン購入法各リサイクル法(自動車、家電、食品etc.)採鉱廃棄消費再生資源市場の構築再資源化熱回収再資源化再製造リファービッシュリサイクル廃棄採鉱生産消費廃棄(廃棄物・循環資源)●循環利用ができる「状態にすること」という準備行為にとどまる●品目から漏れた製品は対象外再商品化・再資源化●関係主体に責務を課すにとどまる●具体的な発生抑制事例は少ない発生抑制❶廃棄物の発生抑制❷再利用(リユース:循環資源をそのまま繰り返し使うこと)❸再生利用(マテリアルリサイクル:循環資源を原材料として利用すること)❹熱回収(サーマルリサイクル)❺適正処分循環基本法特別レポート


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