東京財団政策研究所 Review No.6

公益財団法人東京財団政策研究所のリーフレットです。非営利・独立の民間シンクタンクとして、外交・安全保障、経済・社会保障、環境・社会分野の政策提言・普及活動と、国内外で実施する各種人材育成プログラムを行っています。


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11費大国であり、鉱物資源リスクの影響を受けやすい。鉱物資源リスクを回避するためにも、備蓄などの従来型の対処だけではなく、日本国内で再生資源を循環させる再生資源市場を生み出すCEの構築が必要である。一方、欧州が主導するCEをそのまま導入することは、日本の競争力低下という別のリスクを招く可能性があることから、日本の状況に即した日本版CEを構築する必要があるだろう。既に、CEの国際標準化を議論するISOの技術委員会(TC323)では、フランスが事務局のポストを獲得しており、議論の舵が握られている状況にあるが、データを基にした具体的な議論は未だ十分なされていない。今後、欧州主導のCE国際標準化の議論に日本の意向を反映させるためには、状況に即した資源循環のモデル事例を早急に構築し、その実証データを基にした議論を日本が率先して行う必要がある。クは多鉱種にわたるため、従来型の対処だけでは限界がある。一方、EUでは、資源制約と経済成長をデカップリングさせるCEの構築によって資源リスクへの対応を目指しており、その内容は、これまでの日本のアプローチとは大きく異なっている。さらに、欧州ではCEを国際標準化する動きもはじまっており、それによっては、欧州が主導するCEを日本も導入しなければならなくなる可能性もある。しかしCEは、単なるリサイクル政策ではない。線型経済から循環型経済へと経済モデルを大きく転換するものであり、欧州による市場の囲い込みの懸念や、資源の採鉱→生産→廃棄物管理→再資源化→生産という各ステップでの規制が厳しくなる可能性があり、その影響は産業・経済全般に及ぶことから、欧州主導のCEの導入は、日本の競争力の低下につながる可能性もある。日本は、多くの鉱物資源を必要とする鉱物資源消参考文献●産業環境管理協会(2018):リサイクルデータブック2018,一般社団法人産業環境管理協会,159●IEA(2016):WorldEnergyOutlook2016,OECD,Paris,FRA,24,553●WorldBankGroup(2017):TheGrowingRoleofMineralsandMetalsforaLowCarbonFuture2017,入手先<http://phoventus.com/wp-content/uploads/2018/03/The-Growing-Role-of-Minerals-and-Metals-for-a-Low-Carbon-Future.pdf#>(参照2019-6-20)●AdamasIntelligence(2018):SpotlightonDysprosium2018,入手先<http://1b9dn310cnw45swh730g66pj-wpengine.netdna-ssl.com/wp-content/uploads/2018/04/Adamas-Intelligence-Spotlight-on-Dysprosium-April_2018.pdf>(参照2019-6-20)●IEA(2018):GlobalEVOutlook2018,OECD,Paris,FRA,9●SNEResearch(2017):GlobalLithiumIonBatteryRawMaterialsMarketTrendandForecast(~2025),SNEResearchホームページ,入手先<http://sneresearch.com/_new/eng/sub/sub1/sub1_01_view.php?mode=show&id=959&sub_cat=2>(参照2019-6-19)●JOGMEC(2016):鉱物資源マテリアルフロー20169.コバルト(Co),石油天然ガス・金属鉱物資源機構,2,入手先<http://mric.jogmec.go.jp/wp-content/uploads/2017/06/09_201701_Co.pdf>(参照2019-6-19)●松井健裕,小柳津顕,山末英嗣,松八重一代,長坂徹也(2018):自動車の技術変化と素材に着目した関与物質総量の分析,第13回日本LCA学会研究発表会講演要旨集,(2018),104-105●海洋政策研究財団(2011):海洋白書2011,7●田中彰、黄孝春、康上賢淑(2016):レアアースショックと総合商社,産業学会研究年報第31号27-39●経済産業省(2018):自動車新時代戦略会議中間整理,自動車新時代戦略会議,(2018),22●EC(2016):CircularEconomy,入手先<http://ec.europa.eu/environment/legal/law/6/pdf/01_aile_waste_law_circular_economy_speakers_notes.pdf>(参照2019-6-20)●ECWebサイト:Circulareconomy,ECホームページ,入手先<https://ec.europa.eu/growth/industry/sustainability/circular-economy_en>(参照2019-6-20)●EC(2011):RoadmaptoaResourceEfficientEurope,入手先<https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:52011DC0571&from=EN>(参照2019-6-17)●EC(2015):Closingtheloop-AnEUactionplanfortheCircularEconomy,入手先<https://eur-lex.europa.eu/resource.html?uri=cellar:8a8ef5e8-99a0-11e5-b3b7-01aa75ed71a1.0012.02/DOC_1&format=PDF>(参照2019-6-17)●EU(2018):EuropeanCommission,ReportonCriticalRawMaterialsandtheCircularEconomy2018,入手先<https://publications.europa.eu/en/publication-detail/-/publication/d1be1b43-e18f-11e8-b690-01aa75ed71a1/language-en/format-PDF>(参照2019-6-20)●SOMO(2015):CentreforResearchonMultinationalCorporations,Thereismorethan3TG,SOMOpaper2015,入手先<https://www.somo.nl/wp-content/uploads/2015/02/There-is-more-than-3TG.pdf>(参照2019-11-10)●HIIK(2019):CONFLICTBAROMETER2018,入手先<https://hiik.de/conflict-barometer/current-version/?lang=en>(参照2019-12-02)●EC(2008):DIRECTIVE2008/98/ECOFTHEEUROPEANPARLIAMENTANDOFTHECOUNCILof19November2008onwasteandrepealingcertainDirectives,入手先<https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/PDF/?uri=CELEX:32008L0098&from=EN>(参照2019-6-17)●EC(2018):AEuropeanStrategyforPlasticsinaCircularEconomy,入手先<https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?qid=1516265440535&uri=COM:2018:28:FIN(参照2019-10-17)●黒川哲志、奥田進一編(2015):環境法のフロンティア,成文堂,97-114●喜多川和典(2019年):サーキュラーエコノミー政策の動向〜台頭する中国、政策方針打ち出せぬ日本〜,東京財団政策研究所講演資料,15-17●JOGMEC(2016):レアメタル備蓄データ集(総論),石油天然ガス・金属鉱物資源機構希少金属備蓄部,4●経済産業省、環境省(2018):海外展開戦略(リサイクル)●経済産業省(2010):平成21年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2010)●IRENA(2018):RENEWABLEPOWERGENERATIONCOSTSIN2018●Lazard(2018):LevelizedCostofEnergyAnalysis–Version12.0(2018)


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