東京財団政策研究所 No. 8

公益財団法人東京財団政策研究所のリーフレットです。非営利・独立の民間シンクタンクとして、外交・安全保障、経済・社会保障、環境・社会分野の政策提言・普及活動と、国内外で実施する各種人材育成プログラムを行っています。


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08の科学技術力を評価すると、偏った結論を導く可能性がある。質にも目を配る必要があるのだ。もう一つの原因は、これまでの150年間の歴史に起因する被害意識とナショナリズムの高揚の相乗効果により、中国が世界のリーダーになる願望が高まっていることにある。「列強に侵略され、発展が大幅に立ち遅れてしまった中国が、中国共産党のおかげで再び世界のリーダーになれるまで発展してきた。列強に翻弄されてきたが、これからは中国が世界をリードする時代である」―。こうした論調は先進国の一部の論者にも支持されている。彼らは、「これからは中国の世紀になる」とまで断言している*4。こうしたなかで、習政権は強国復権の夢の実現を急いでいる。毛沢東以降の歴代指導者は、中国は世界の覇権を求めないと繰り返し強調してきた。しかし、現実は世界主要国とのトラブルはもとより、近隣諸国とのトラブルもあとを絶たない。最近では、インドとの国境紛争まで再発してしまった。中国の今の国力が過大評価されているため、手当たり次第に多くの国とトラブルを起こしている。これこそ、「戦狼外交」がもたらした弊害である。してしまうのだろうか。原因の一つは、中国の国力が過大評価されていることにある。習政権になってから、中国国内の一部の専門家はナショナリズムの高揚に迎合して、中国の国力を過大評価する談話を相次いで発表するようになった。その背景に、言論統制の強化がある。政府にとって不都合な意見などを述べることが認められなくなったのである。その結果、イエスマンの大合唱は中国の指導部をミスリードしてしまった。むろん、指導部をミスリードしたのは何も中国国内の政府御用学者だけではない。世界銀行の発表によると、購買力平価(PPP)*3で中国の名目GDPを再評価すれば、中国の経済規模はすでにアメリカを凌駕しているといわれている。世界銀行の調査チームが使う中国の物価指数は中国国家統計局のものであり、かなり過小評価されているため、それをもって再評価した中国の名目GDPは、当然過大評価されがちである。同様に、日本のマスコミでも、中国の大学と企業が出願した特許の件数はすでに世界一になったと、繰り返し報道している。しかし、特許には、役に立つ特許と役に立たない特許があることを忘れてはならない。特許出願件数、すなわち、量をもって中国ChinaWatch6


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