タイプ
その他
日付
2008/4/23

荒川区のコアプロブレムを抽出するために(荒川区 森田修康)

荒川区 管理部 森田修康

4月7日から、ついに早稲田大学大学院公共経営研究科での授業がスタートしました。

早稲田大学大学院公共経営研究科は「専門職大学院」と銘打っているように、公共経営のプロフェッショナルである講師陣から専門的で高度な内容を学ぶことができます。学生も、政治家や公務員、会社経営者等多彩であり、授業では白熱した議論が繰り広げられます。普段仕事をしているだけでは出会えないような講師、学生等と議論を交す中で日々新しい発見をしており、非常に良い刺激を受けています。

今回はこれまでの2週間で受講した授業の中からいくつか印象に残った授業をご紹介します。

まず、「TPS(トヨタ生産方式)」です(新井篤美教授)。トヨタ生産方式は、組織におけるあらゆる「ムダ」を徹底的に省くことにより効率的かつ合理的な経営を図る方法論です。これは元々クルマ作りを目的としたものであり、そのまま行政に適用することは難しいですが、徹底的にムダを省き業務の効率化を図るその理念と方法論は行政にも十分適用していけるものと感じました。主に、内部事務の改善に大きな効果を発揮するのではないかと思っています。小さな問題を見逃さずに「改善」を積み重ねていくことによって、それが大きな「改革」へと繋がっていくのではないかと感じ、今後の授業に期待を抱いています。

次に、小林麻理教授の「公会計A」です。公会計は、企業会計の手法を行政に取り入れようとするものですが、利益の追求という目的・成果がはっきりしている企業に対し、行政では成果が利益(金)として明確に現れるわけではないため、導入には様々な検討が必要となります。しかし、公会計の導入は、財政状況を明らかにして戦略的な財政運営を行っていくためにも、また、区民への説明責任を果たすためにも、今後の自治体にとって必要不可欠です。荒川区は「公会計改革宣言」をしており、公会計の導入は今後の最重要課題の一つとなるため、しっかりとその理論や今後の動向について学んでいきたいと考えています。

最後に、塚本壽雄教授の「政策評価論」です。荒川区でも平成18年度から行政評価制度を導入しています。これは、事務・事業ごとに成果を分析するための指標、問題点等を明確にし、それに基づき事業の優先度の順位付け、改善策の検討等を行うものです。実際に私も担当業務について評価を実施しましたが、成果の指標化・数値化が難しいものが多く、評価の予算への反映や区民への説明・周知方法、事業見直しの判断基準の明確化等、課題は多いと思われます。今後、体系的な理論を学ぶ中で、荒川区にとっての最善の方策を模索していきたいと考えています。

私の勤務する荒川区では、近隣自治体を上回るペースで進む高齢化、財政基盤の脆弱性、木造住宅の密集等による防災上の脆弱性、中小零細企業の不振、マンションの増加によるコミュニティの衰退等、多様な課題を抱えています。本格的な地方分権の時代を迎えた今、これらの課題を解決していくためには、何が最も中核となる問題なのか、すなわちコアプロブレムを明確にし、それに対応した有効な政策を積極的に打ち出していく必要があります。

早稲田大学の授業、また、研修生のみを対象としたコンパクトセミナー・国内サイトビジット等の中には、これらの課題を解決するためのヒントが必ず隠されていると思います。アメリカで本格的なプロジェクト・マネジメントを学ぶ前に、この充実した環境で多くの知識や問題意識、方法論等を身に付けたいです。そして、5年間に渡る本研修プログラムの最後を飾るのに相応しいように、研修生13名で切磋琢磨し合い、さらに一回り大きく成長して地域のために貢献できる人間になりたいと考えています。