タイプ
その他
日付
2008/5/12

伊勢原市の将来のために(伊勢原市 竹間美加子)

神奈川県伊勢原市 土木部 竹間美加子

4月から早稲田大学大学院公共経営研究科での授業が始まり、早いもので一ヶ月が経ちました。公共経営研究科の授業で驚いたことは、受講生が自治体職員だけではなく、地方議員やジャーナリスト、隣国からの研修生など幅広い分野から集まっていることです。授業では様々な視点からの意見を聞くことができ大変刺激になります。このレポートでは、これまでに受講した授業のなかから2つを紹介したいと思います。

小林麻理教授の「予算制度論」では、業績予算やPPBS(Plannin-Programming-Budgeting System:計画策定・プログラム作成・予算編成システム)といった予算制度について学んでいます。

PPBSでは、2ヵ年・3ヵ年といった中長期で事業計画を立て、目標を達成するためのプログラムを作成し、それに掛かるコストを予算計上します。そして、定期的に事業評価を行い、評価結果を次年度の予算編成にフィードバックするというものです。

通常、市の予算は単年度で編成しますが、年度中に前年度の決算をし、現年度事業の執行をしながら、まだその事業の評価結果が出る以前に翌年度の予算を組むので、事業評価を予算編成に反映しづらい面があります。私が所属する伊勢原市でも事業評価システムが導入されていますが、数ヵ年で行なう事業では、PPBSのようなプランニング指向の予算制度のほうが、事業計画・評価結果と予算編成のリンケージが図られ、効果的だと思いました。

日本の教育機関で予算制度を扱った講義は珍しいそうです。今後益々評価制度の導入が進むなかで、それを活かした予算システムについて考えていく意義は大きいと思います。自治体の現行システムとの違いから生ずる課題もありますが、この授業ではそうした現実的な課題についても議論され、実践的な知識を身につけることができます。

次に黒澤武邦教授の「都市再生とまちづくり」は、日本とアメリカにおける都市と政策の関係について、都市再生、地域づくり、まちづくりの具体的な事例をもとに学ぶ授業です。

まちづくりや都市計画と言っても、ハード面だけではなく、NPOとの連携や地域振興など、ソフト面から考えたまちづくりについても考察していきます。これまでの授業では、日本の政策形成プロセスと都市の成り立ちや形状について学びました。

世界各地の都市の地図を見ながら、その都市ができた歴史と背景を含め、その形状についての講義を受けました。都市のはじまり、古代ギリシャのアテネは、その中で人々が暮らし、働き、学問・文化芸術・政治・経済全ての活動をする一つのコミュニティ、いわば自治体であったそうです。

また、都市形状の講義では、道路などの都市基盤が、その街の発展と人々の生活を支えていくためにいかに重要な役割を持っているかということを知ることができました。

この講義を通して、都市とは、「自治」と「都市整備」の両方が成り立ってはじめて、人々が安全で豊かな暮らしと経済活動を営むことのできる場所なのだと感じました。地方分権の進むこれからは、住民と行政が共に自治を担っていかなければなりません。まちづくりにおいても、自分たちにとって本当に望ましい地域社会を、住民が主体となって創り上げていくべきだと考えます。

伊勢原市でも都市整備、道路整備において多くの課題や計画がありますが、これからは地域住民と行政が共に住みよいまちや環境について考え、まちづくりを進めていく必要があります。この授業の中でそのようなまちづくりの事例やヒントを学び、本市での事業に役立てたいと考えています。

職場を離れこの研修に参加してから一ヶ月、自分の今までの仕事を客観的に見つめることができるようになりました。その一方、自分自身に対しては、公務員としての知識どころか、自分の勤める市のことすら十分に理解していないと気づきました。また、これまで職場で周りの方々に支えられて仕事ができていたことや、この研修でも東京財団をはじめ多くの方々に支援していただいていることを感じています。

公共経営研究科で学ぶことができるという恵まれた環境の中で、改めて自治体職員として必要な最新の知識やノウハウを身につけたいと思います。そして、この研修で習得したものを職場に持ち帰り、市民が満足して暮らせるまちづくり、伊勢原の子どもたちのために豊かな将来のあるまちづくりに貢献したいと考えています。