タイプ
その他
日付
2008/5/26

市民により近い市役所をめざして(塩尻市 大村一)

長野県塩尻市 議会事務局 大村 一

「市の行政は、近くて遠い政府ですね。」早稲田大学大学院公共経営研究科「自治行政研究A」の授業での寄本勝美教授の一言です。「みなさんは自分の市や町の議会議員を何人知っていますか?一人二人知っていれば良いほうでしょう。」塩尻市の職員として、また議会事務局員として今まで常に考えてきた、行政と市民の距離感について、寄本教授はこのように表現されます。

この授業では、主に自治体におけるゴミ処理、廃棄物の問題を事例として、過去に発生した自治体と市民/民間業者間の問題、自治体内部の問題や改革、そして今後の課題について講義が行われています。
 
5月15日の授業では、長年市民活動を行ってきた「地球環境とごみ問題を考える市民と議員の会」の芳賀育子さんがゲストスピーカーとして講演し、市民活動による行政への働きかけについてご経験をもとにお話されました。「法律は専門家が作るものだが、その過程のなかに市民が意見を言える場をつくることが大切。」「日本で市民の声を聞くというと、○○審議会を作り、そこで話し合うことが声を聞いたということになるが、形骸化している」「行政は反対意見を聞く姿勢がないといけない」など、芳賀先生のお話はすべて市民の目線から行政の問題点を浮き彫りにするもので、立ち位置を変えて物事を考え直すことの大切さを改めて考えさせられました。

実際のところ、市役所に意見を言ってくる市民はごく少数です。しかし「少数=少数意見」ではないことを認識しなければいけないと思います。なぜなら、問題がないから意見が少ないのではなく、実際は「市役所が近くて遠い政府」だから意見を届けづらいのが理由かもしれないからです。行政はもっともっと市民の声を聞く努力が必要だと思います。

私は議会事務局に所属し、議会・議員のサポートをしています。「市民要望を政策提言に活かし、市議会での議論を通じ政策形成過程に参画し、市の行財政運営についてチェック機能を発揮する」という市議会の目的のもと、議会事務局員全員で議会運営について日々研究しています。また、塩尻市議会としても「議会改革等研究委員会」を設け、議員たち自らが議会改革について研究しています。

しかしながら、多くの市民が、議会も含めた行政改革について関心をもたれていないのが現状です。議会改革の利益は市民が享受するわけですから、市民の声を受けて実現する必要があります。例えば「市議会議員の定数削減」を市議会で考える時、その基準は何なのでしょう。「財政難のため市議会議員の人件費を減らす」ということだけでは本当の改革ではないと思います。「塩尻市の運営について、本当に必要な議員の人数は何人なのか?」と広く市民の意見を聞いて、議論することが必要だと思います。同時に市議会は市民への説明責任があります。市民からの多様なニーズについて、これまで以上にアカウンタビリティを果たす必要があると思います。市民と市議会の双方向のコミュニケーションを充実させることが、これからの塩尻市の活性化の大きなカギを握っていると考え、議会事務局員として研修の中で研究をしています

今回の研修では、政策形成能力と、その政策の実行力を身に着けたいと思っています。「地方分権、地域主権」と叫ばれるなか、「塩尻市の将来像はどうあるべきか」を市民と一緒に考え、政策を形成・実行することができる市職員となれるよう今後も研修に励みたいと思います。