タイプ
その他
日付
2008/5/27

海岸環境改善プロジェクト(蒲郡市 柴田好範)

愛知県蒲郡市 柴田好範

私は第1期(2004年度)研修に参加し、国内外の事例から地方自治の最新理論を学ぶと同時に、自治体で実際に事業展開するために必要なスキルを習得し、「竹島周辺の海岸環境問題を中心に据えた地域住民参加型社会の構築」というプロジェクトを立案しました。

プロジェクトの背景
このプロジェクトは、竹島(蒲郡市の観光名所)周辺に大量漂着して景観を損ねる「アオサ」という海藻の処理問題について、市民との協働で解決することを目標としました。

竹島周辺に大量漂着したアオサ

アオサの回収には膨大な手間と費用が必要であり、市費だけでは回収能力に限界があります。更に当時は、こうした活動に積極的に取り組む市民、企業、団体、学校などの連携ができていませんでした。このプロジェクトを通じて海岸環境問題に対する関心が高まれば、コミュニティー活動が活発化し海岸は美しさを取り戻すとともに、観光客の増加につながるのではないかと考えたのです。そして、こうした活動によって市民が地域への関心を高め、自立した市民とともに本来の自治を実現することにつなげることを最終目標に設定しました。

手作業での回収作業

プロジェクトの状況
このプロジェクトを推進するにあたっては、?地域イベントの開催、?地元小学校での環境教育の導入、?参加型シンポジムの開催、?コミュニティー活動参加へのインセンティブ確保、という4つの具体的な活動を行いました。

?地域イベントの開催
海のある街に住んでいながら、その楽しさや現状を知らない市民が少なくありません。こうした人々にイベントを通じて海に興味を抱かせることを目的に実施しました。ポイントは、「活動が楽しいこと」、「達成感をもたせること」、「物資提供等の協力者を得ること」です。
?地元小学校での環境教育の導入
総合学習の時間において、蒲郡市のシンボル的存在である「海」についての学習を行うことでその状況を知り、海への知識を深めるきっかけとすることを目的に実施しました。また、この教育を通して、ボランティア活動の意義についても併せて学習しました。学習成果は?のシンポジウムで発表することとし、活動を地域社会が認めるという点が大切なステップであると位置づけました。
?参加型シンポジムの開催
市民イベントや環境教育の発表紹介の場を兼ねて、海の汚染度の問題からアオサに関する具体的な処理問題・解決方法までをわかりやすく紹介し、会場に集まった市民とともに一体となって意見を交換し合うといった参加型のシンポジウムを開催しました。パネラーには、アオサの回収・処理方法等を市とともに検討している組織のメンバーや漁協の組合長、水産試験場、NPOなど幅広い分野から登壇いただきました。
?コミュニティー活動参加へのインセンティブ確保
市民や企業等のコミュニティーが、より活動に参加するためのインセンティブを導入しました。ここでは5点程検討例を示します。
1)廃品回収活動に充てている予算を海の清掃活動にも適用するための制度変更検討
2)自主的な海岸清掃活動に対する「報奨金」もしくはこれに準じたものであるとか、公共施設の入場料減免や商店街等のポイント得点優遇措置導入に関する検討
3)自主的な海岸清掃活動に際して、道具や車などを貸与することを民間企業の協力提携をも視野に入れて検討
4)活動に対して市長表彰等がされる仕組みを設ける
5)活動を市のホームページやマスコミ等を使って積極的に紹介する

今後の抱負
私が研修で学んだことで特に印象に残っていることは、アメリカで導入されている「環境学習」です。住民の地域社会への貢献を持続的に発展させるには、子どもの頃からその地域の環境の特徴を学習するとともに、地域への貢献を地域社会が褒めてあげることが欠かせません。持続可能な地域住民参加型社会に変革するために、プロジェクトの一環として小学校との連携を盛り込みました。

これからの市を担う子供たちが「海の街の現状を知る」ことからスタートした環境学習でしたが、?の発表の場で、「私達の大切な海を守るためにできること」いうメッセージをユニークな寸劇仕立てで発信してくれました。プロジェクトを進める中で感動したのはまさにこの瞬間でした。

これからの自治体には、自立した市民とともに効率のよい自治体経営を目指した協働の道を築き上げていくことが強く求められています。このプロジェクト実施により、海辺の街づくりに関する切り口から市民の自治への関心を高め、自立した市民とともに本来の自治を実現していくことを最終目標に据えています。このためのステップとして、また、「海の街」を標榜する蒲郡が名実ともに達成できるよう、当該プロジェクトを積極的かつ継続的に無理なく着実に展開していくことが大切であると考えています。