タイプ
その他
日付
2014/1/30

来たれ! 地域をよりよくしたい人-2014年度東京財団週末学校 参加者募集開始


2000年、地方分権一括法が施行され、制度上、国と地方の関係は対等となった。ところが、10年以上経っても、国と地方が上下関係であるような意識や慣習が双方に残っており、依然として多くの自治体が「国の指示どおりに」、「前例に従って」、「他市と歩調をそろえて」行動しているように見える。

自治体が本当に切望する「地方分権」はしかし、首長や議会の権限を大きくすることではないはずだ。分権によって、「地元のことは地元が決める」という自治体運営を地元住民が取り戻し、活力を得ていくことが本来の目的だろう。


自分たちのまちのことを徹頭徹尾、住民自身が決めていく「住民自治」。民主主義の日本では、直接選挙で首長や議員を選んでいるのだから、今だって住民が決めているではないか、という意見もあるだろう。しかしそれは有権者としての直接参加であって、日々の暮らしにかかわる地元のいろいろな局面に、住民として関わっていくこととは異なる。

では、住民が関わる自治体運営とはどういうものなのだろう。北海道ニセコ町の片山健也町長は、「戦後右肩上がりの経済成長の中で、行政は、地域の相互扶助の力を奪ってしまった。・・・行政が担ってきた仕事を“解体”して、本来やるべき人に返し、次の社会に引き渡していく仕組みを作ることが、これからの行政の役割だ」と語っている。

そのためには、住民主体のまちづくりを共通認識として、住民と自治体職員の双方がいい意味でのチェンジメーカーとなって地元に活力を与え、徐々に日本社会全体が閉塞感を打開していくことが必要なのではないか。東京財団週末学校は、そのような地方行政の担い手を育て、つなげていくことを目的にしている。

2004年に始まったこのプログラムは、今年で11年目。参加者は全国から集結する20名の精鋭だ。それぞれが働きざかりの中堅職員として業務を切り盛りしながら、隔週末ごとに一堂に会し、首長経験者から哲学者に至る多様な講師陣による講義や出張調査を行いながら、徹底した議論を通して切磋琢磨していく。行政マンとしての伝統的なスキルではなく、自治体職員としての内面を磨いて、新しい自分を発見することに自ら挑むリーダーシップ体験でもある。

一例を紹介しよう。約6ヵ月間のプログラムのターニングポイントは、米国ポートランド市で行う国外調査だ。ポートランド市は、全米でも屈指の「住民自治」の先進地といわれている。ここで参加者たちは、東京財団週末学校とポートランド州立大学マーク・ハットフィールド行政大学院が共同開発した独自プログラムの下、「住民が決めている」現場を次々に調査する。住民と議員が議論している市議会へ赴いたり、タウンミーティングで住民の切実な要望を直接耳にしたり・・・。言葉の壁は同大学院の日本人学生たちがともに乗り越えてくれるから「外国語はちょっと・・・」というのは通用しない。むしろ日本の行政のプロとしてコメントを求められることもある。そんな時も「前例がないので」、「規則がこうなっているので」という言い訳はまったく通用しない。なぜなら、ポートランド市民にとって大切なことは、いかに自分のまちをよくしていくかということであり、「前例がないなら作ろう」「規則がおかしいなら変えよう」という発想で動いているからだ。こうした対話を繰り返し、参加者たちはこれこそが「当事者意識」であることに気づいていく。

そんな体験をして帰国した参加者はみな一様に、自らの内面に変化が起きていることに気づかされる。それが明日からの自分の仕事にどんな化学変化をもたらすのか、わくわくしながら成田を後にする。その意味で、ポートランドでのプログラムは、他に類をみない「自治」だけに特化した、日米共同の大学・行政、そしてわれわれ東京財団との連携研究なのだ。

自らの地域をよりよくしたいという想いと、そのために自ら行動する覚悟を持つ全国の市区町村職員のみなさんに、ぜひ挑戦していただきたいプログラムである。


■応募に関する詳細はこちら「2014年度週末学校参加者募集」