タイプ
その他
日付
2017/6/9

クイーンズランド大学博士学生 ローラ・クラクさん来訪

東京財団が運営する、日本語教育基金(Nippon Foundation Fund for Japanese Language Education Program: NF-JLEP)では、海外の日本語教育の推進を目的として、6か国の8大学に基金が寄贈され、各国の日本語教育に係る様々な事業に活用されています。

オーストラリアのクイーンズランド大学とグリフィス大学には1997年に基金が設置され、Queensland Program for Japanese Education (QPJE)というプログラム名で、クイーンズランド州とノーザンテリトリーの日本語教育推進のために、大学院生の奨学金や小・中・高日本語教員の研修奨励金給付等の事業を実施しています。

 

2017年6月に、クイーンズランド大学の博士課程に在籍するローラ・クラクさんが東京財団を来訪しました。クラクさんは、QPJEが提供する、大学院生対象の研究奨励金の支援を受け、博士論文の資料収集のため、およそ1ヶ月間日本に滞在しています。

 

博士論文では、村上春樹氏の年代の異なる『羊をめぐる冒険』(講談社、1982年)、『ねじまき鳥クロニクル』(新潮社、1995年)、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋、2013年)の3つの作品を取り上げ、戦後から60年以上にわたる日本の理想の男女像の変化を考察します。特に夫婦関係における男性の役割は、戦後も引き続き、軍国主義の思想を大きく反映しているとしています。

 

クラクさんは幼少期から日本の漫画やアニメに興味があり、南オーストラリア大学で学士課程在籍時に日本語の勉強を始めました。村上氏の作品を読み始めたのも、大学に入学した頃でした。「一見すると日常の生活描写が、シュルレアルな世界にいつの間にか入り込む」という点に、オーストラリアの文学作品にはない、村上作品の魅力を感じ、現在では自身の博士課程の研究テーマにしています。また、クラクさんは、村上氏が女性に焦点をあて丁寧に描写している点も興味深いと話しました。

 

博士課程修了後は、オーストラリアか日本で研究を続ける予定です。大学で研究を続けるには、学生への指導も必須となりますが、いま大学で受け持っている初級の日本語や日本文学の授業を通じて、教えることの楽しさを感じているそうです。

 

クラクさんは今年の8月に再度来日し、博士論文の完成に向けて、さらに半年間日本に滞在します。日本での研究活動を経て、今後論文の内容が深まっていくことが楽しみです。

 

博士論文でも扱う『羊をめぐる冒険』に関するクラクさんのジャーナルが、以下のリンク先に掲載されています。

Negotiating the salaryman’s hegemonic masculinity in Murakami’s A Wild Sheep Chase