タイプ
その他
日付
2007/5/9

中国におけるSYLFF校

東京財団では、日本財団との共同事業として、ヤングリーダー奨学基金(SYLFF)プログラムを実施しております。SYLFF は、将来地域社会や国際社会でリーダーとして活躍する人材を育成することを目的とする奨学金プログラムで、1987年にプログラムが創設されてからこれまでに、日本財団の寄贈によって世界45カ国の69大学に各々100万ドルの基金が設置されています。その基金は各大学の運営委員会によって運用され、運用益は各大学で人文・社会科学分野を専攻する大学院生に奨学金として提供されています。中国では以下の10大学にSYLFF基金が設置されました。

1992年基金設置(5大学)
復旦大学(上海市)(http://www.fudan.edu.cn
吉林大学(吉林省長春市)(http://www.jlu.edu.cn/newjlu)
蘭州大学(甘粛省蘭州市)(http://www.lzu.edu.cn)
南京大学(江蘇省南京市)(http://www.nju.edu.cn)
北京大学(北京市)(http://www.pku.edu.cn)

1994年基金設置(5大学)
重慶大学(重慶市)(http://www.cqu.edu.cn)
内蒙古大学(内蒙古自治区フフホト市)(http://www.imu.edu.cn)
新彊大学(新彊ウイグル自治区ウルムチ市)(http://www.xju.edu.cn)
雲南大学(雲南省昆明市)(http://www.ynu.edu.cn)
中山大学(広東省広州市)(http://www.zsu.edu.cn)

中国語では「笹川良一優秀青年教育基金」と呼ばれています。これまでに、これら10大学でSYLFF奨学金を受給した大学院生の累計は約5,000名にのぼり、全世界で一万人近いSYLFF奨学生全体の半数以上を占めています。

東京財団は、SYLFF全体の運営・管理を担当しており、その一環として、基金校を訪問し、基金の運用や奨学金プログラムの運営状況を把握するとともに、さまざまな課題について協議し、プログラム全体の質の向上を図っています。

去る4月中旬、蘭州大学を訪問しました。同大学は、敦煌で有名な甘粛省の省都蘭州市に位置しています。甘粛省は、ほとんどが海抜1000m以上の黄土高原で、人口300万(市内は150万)の蘭州市は、黄河沿いに細長く拡がる都市です。紡績、化学、石油精製工場などを多く抱える工業都市です。黄河流域とはいえ気候は乾燥しており、街中にはわずかに緑があるものの、周りに見える山々はほとんど木々がありません。国や省の指導で、山々での植林作業が進められていますが、緑の山になるのには、まだまだ相当の年数がかかりそうです。(写真:(右から)蘭州大学周緒紅学長、楊恕副学長、東京財団益子常務理事)

蘭州大学は1909年に甘粛法政学堂として創設され、1946年に国立蘭州大学となり、1950年に蘭州大学と改称されました。中国の「西北地域」における中心的な大学として、211プロジェクト、985プロジェクト(下記注参照)の重点大学として指定されています。現在約18,000名の学部生と5,700名の大学院生(うち文科系は3,200名)が在籍し、5,600名の教職員を擁しています。今後さらに大学院生の比率を上げ、研究大学として成長することを目指しています。専攻分野には、地域の特性を反映して、西部環境研究、乾燥生態学、草地農業生態システム学といった分野もあり、敦煌学研究所や西北少数民族研究センターなどの研究施設もあります。

同大学のSYLFF奨学金は、国際政治、国際経済、国際法、経営といった現代的な研究分野を専攻する学生が対象となっており、将来リーダーとなりうる優秀な学生に奨学金が支給されています。これまでに約900名の大学院生がSYLFF奨学金を受給しました。

今後、中国西北地域発展のためにも、ますます活躍してほしい大学です。(写真:蘭州市と周辺の山々)

注:中国では、高等教育改革が進められており、その一環として「211プロジェクト」(1995年に開始された政策で、21世紀に向け100校程度の高等教育機関及び重点専攻領域の教育研究水準を飛躍的に高めるための重点投資計画。2005年時点で上記10校を含む全国107大学が認定されている)や「985プロジェクト」(1998年5月4日、北京大学創立100周年式典で江沢民国家主席[当時]が提唱したもので、世界一流の大学を目指す一部の大学を重点的に支援する計画。現在までに上記のうち7大学を含む全国38大学が指定されている)等が実施され、予算配分の重点化による教育・研究の質の向上を図っています。

(文責:丸山 勇)