タイプ
レポート
日付
2007/9/20

奨学事業レポート 「“SYLFF (シルフ)”のフォローアップとは?」 【Vol. 1】

奨学事業部が運営するSYLFFプログラム(The Ryoichi Sasakawa Young Leaders Fellowship Fund:ヤングリーダー奨学基金プログラム)は、人文社会科学分野を専攻する大学院生を対象とする奨学金制度で、2007年で20周年を迎えました。SYLFFプログラムでは、奨学金を支給するだけに留まらず、奨学生(“SYLFFフェロー”)の研究・社会貢献活動やネットワーク構築の推進を目的として、様々なフォローアップ事業を展開しています。今週の奨学事業レポートでは、これらの事業におけるSYLFFフェローの研究・社会貢献活動をご紹介します。



■なぜフォローアップするのか?

SYLFFプログラムは、優秀な学生に学位取得のための奨学金を支給するだけではなく、奨学金支給後も様々なサポートを続けていることが特徴的です。これを「フォローアップ・プログラム」と呼んでおり、SYLFFフェローの1)研究活動の充実、2)社会貢献活動への取組み、3)フェロー間のネットワーク推進の3つを主な目的としています。

では、なぜ奨学金を支給した上に、フォローアップが必要なのでしょうか? SYLFFでは、知性と行動力をもって社会を変革することの出来るリーダーの育成を目指していますが(先週のトピックス参照)、これには、専門分野における膨大な知識の蓄積に加えて様々な社会的経験が必要であり、大学院における研究活動のみで養われうるものではありません。このため、長期的な視野を持って、大学院在籍中のフェローはもちろん、既に学位を取得し大学院課程を修了したフェローも対象とした各種プログラムを展開しています。SYLFFでは、大学院の課程を始めたフェローにとって、または卒業後その知識を実社会で活かそうとするフェローにとって、飛躍するための第一歩となるような経験の場を提供しているのです。


現役のSYLFFフェローに対する支援:SYLFF校間留学プログラム


現役大学院生が取り組むべき最大の課題は、やはり学位論文の執筆です。人文社会科学分野を専攻するSYLFFフェローの多くは、論文のテーマとして特定の国や地域に関する研究、国際関係、または学際的な分野や比較研究を扱っており、国外での研究の機会は非常に重要かつ有益です。このため、「SYLFF校間留学プログラム(Fellows Mobility Program: FMP)」では、大学院在籍中のSYLFFフェローを対象に、他国のSYLFF校を一定期間訪問し、学位論文に関する研究活動を行なう機会を提供しています。参加フェローは、自分の研究に関係する国を訪れ、現場の雰囲気を体感し、一次資料に触れ、第一線で活躍する人物に会い、自らの論文に関する知識や問題意識を深めることが出来ます。また、SYLFF校のネットワークを活用して、受入れ校の教授から論文指導を受けたり、フィールドワークを行なったりしています。

参加フェロー紹介
マドゥチャンダ・ゴッシュ(Ms. Madhuchanda Ghosh)
インドのジャダプール大学(Jadavpur University)より2006年2月から7月までの5ヶ月間早稲田大学を訪問。国際関係論専攻で、博士論文では日印間の政治問題を取り上げている。日本滞在中は、大学図書館や国立国会図書館での一次資料収集のみならず、大学教授・民間セクターの研究者・政府関係者など、幅広い層への個別インタビューを行なった。その中には、藪中三十二外務審議官や森喜朗前首相(いずれも当時)も含まれているが、これらのインタビューは、受入れ校である早稲田大学担当教員の協力を得て実現した。 これらの情報を元に、現在博士論文の執筆中。


既卒フェローに対する支援:協働プロジェクト支援プログラム


修士/博士号取得後、大学やシンクタンクでの研究職、国の行政機関や国際機関等での実務職を目指すフェローにとっては、研究実績をあげることが必要です。また、自らの専門知識を活かして、自らの属する地域のニーズに根ざしたプロジェクトや、発展途上国における草の根レベルの開発事業を立ち上げたいという社会起業家志向のフェローも多数輩出されています。このようなフェローの研究活動や社会貢献活動を支援するのが「協働プロジェクト支援プログラム(Joint Initiatives Program: JIP)」です。卒業して間もないフェローが、次のキャリアアップを目指して業績を作り上げる機会を提供しています。

研究プロジェクト紹介
起業家教育のためのツールキット(Toolkit for Entrepreneurial Education)
プロジェクトリーダー:ジャン・ルイス・ラシーン(Jean-Louis Racine)/ジェフ・キー(Jeff Kee)
コロンビア大学で修士号を取得したフェローたちによる研究プロジェクト。発展途上国における起業家の育成を目指し、起業の基本知識を研究した上で、高校生を対象とした起業家育成のためのカリキュラムを作成し、ツールキット(道具箱のように使える指南書)として編纂したものをウェブ上で提供している。ツールキットは、教師用と生徒用の2種類が用意されており、会計、在庫管理、物流、マーケティング、販売などを、グループ作業やロール・プレイングなど参加型プログラムを通して学ぶ仕組みになっている。ホームページはこちら

*次週以降の奨学事業レポートでは、個々のJIPプロジェクトについて、随時ご紹介していきます。また、今週の英語サイト“In the Spotlight”では、現在タンザニアにて進行中の社会貢献プロジェクトについて、フェローからの中間報告を掲載しています。詳しくはこちら


次週は、SYLFFフェロー間のネットワーク構築を目的としたフォローアップ事業についてご紹介します。

(文責:石川絵里子)