タイプ
レポート
日付
2008/2/28

奨学事業レポート「アジアの若手リーダー集う国際会議に参加したSYLFF奨学生の声」

奨学事業部では『The SYLFF Newsletter』(英文)を年3回発行しています。世界44カ国68各SYLFF基金校の動向、現役・既卒のSYLFFフェローの研究・活動、プログラムやイベントの報告などを掲載しています。
今回は、今月下旬発行の20号の記事の中から、”より良いアジアの建設:将来を担うリーダーたちの対話(BABA)” リトリートに参加したフィリピンのSYLFF奨学生、カレン・ラクソン氏のレポートをお届けします。


2006年に始まったBABAリトリート2回目の今回は、2007年9月9日から16日の間で中国の北京大学で行われ、カンボジア、ミクロネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、スリランカ、ベトナム、インド、モンゴル、フィリピン、インドネシア、タイ、中国、日本から23名の学者、政府職員、ジャーナリスト、ビジネスマンなどが参加しました。うち8名はSYLFFフェローでした。


BABAの大きなテーマは「アジアにおける公益の創設」(Building a Common Good in Asia)です。リトリートの参加者は、8日間、人間の安全保障、メディアの役割、繁栄の共有、持続可能な発展と市民参加、グローバル化など、人類が直面する重要な課題について議論を交わしました。

基調講演は、スリン・プツワン(Surin Ptsuwan)ASEAN 事務局長が「アジアはどのようにして多様性の中に統一性を見出せるか」というテーマで行ないました。その後、数人のゲストスピーカーが、現在アジアが抱えている問題について発題して下さり、私たち参加者は活発に質問したり、問題の解決に向けた意見をお互いに発表しました。

ところで、“対話” という言葉がテーマに含まれているこの会議は、他の会議とどこが違うのでしょうか?それは、参加者全員が自分とは異なる意見やパラダイムに関して積極的に聞く耳を持っていたことです。質問や答えに、正しいとか間違っているという概念はありませんでした。議論は純粋に、どのようにして長期間未解決の問題や今新たに直面している問題にアジア全体で取り組んでいけばよいか、ということに集中したのです。そして、一人ひとりが、私たちの世代(30歳代)に今できることは何なのかを探ろうとしていました。

大変興味深いことに、それらに対する解決策よりも、疑問や問題意識が次から次へと出されました。そして、そうした疑問や問題意識は、今人類が直面している安全保障やグローバル化、環境破壊といった問題に対し、アジア全体としてどのように取り組み、又、世界をリードしていくことができるかという新たな解決の可能性へと結びついてゆきました。

会議のセッション以外の場面も、非常に中身の濃い時間でした。食事中やバスでの移動中、夜出かけたり、お土産を買っている最中、万里の長城を見学した時などにこそ、お互いの文化を垣間見ることができたと思うのです。また、天安門広場を歩いているときや会議の合間の休憩時間に、それぞれの生い立ちや現在の境遇について語り合うことができたのです。そして、そのような、打ち解けた何気ない時間を共に過ごしたことで、アジアで生活する私たちが持つ共通点や相違点を確認しあうことができました。なぜ私たちがこのようなお互いであるかについて、現実に即した深みのある理解へと進むきっかけになりました。そして、私たち一人ひとりが、アジアという地域の一員であるという意識を持ち、国境の壁を越えた考え方やパラダイムを持っていくための貴重な助けとなりました。

「議論するだけなら簡単だ」という人もいます。でも、私は今回、このBABAリトリートに参加してみて、そうでもないなと思いました。確かに、議論で終わってしまうこともあります。ですが、私たち人類の知恵を合わせて、人々にとっての公益とより良い未来を見出そうとするとき、話し合いは金のように、いやそれ以上の計り知れない価値を持つこともあるのです。


The SYLFF Newsletter 20号(2008年2月発行)(PDF)はこちら