タイプ
レポート
日付
2013/12/10

太平洋島嶼国の歴史から日本の未来を考える ―Sylffフェロー「マーシャル諸島の政治史」を出版―

2007 年のSylffフェロー、黒崎岳大さん(現・国際機関太平洋諸島センター次長)は、2013年10月、「マーシャル諸島の政治史―米軍基地・ビキニ環礁核実験・自由連合協定―」を明石書店世界歴史叢書より上梓しました。

黒崎さんは、早稲田大学文学研究科博士課程在籍中にSylff奨学金を受給し、その後在マーシャル日本国大使館専門調査員として同国に3年間滞在して調査研究にあたりました。

マーシャル諸島共和国の人口は6万人弱。第一次世界大戦から第二次世界大戦の間は、国際連盟の委任統治領として日本の施政下に置かれていたため、多くの日本人が移住し、日本の知識や技術が伝えられました。第二次世界大戦後、ほとんどの移住者は日本に帰国しましたが、同国では今でも、日本語や日本文化の名残を目にすることができます。また、日本の移住者と現地の人々との間に生まれた日系人は、同国の政治・経済界のエリートとして活躍しています。

この国の独立までの歩みは、日本が第二次世界大戦以降に歩んできた道のりとオーバーラップするところが多いことから、本書では、米軍基地を抱える同国と米国との関係、同国北部のビキニ環礁・エヌエタック環礁で実施された核実験の被害補償問題をめぐる「闘い」などに多くのページが割かれています。

黒崎さんはまえがきに次のように記しています。
「本書が、太平洋島嶼国という新しい独立国の今日に至る政治の流れを示すことができるに留まらず、この視点を通じて、様々な問題を抱える今日の日本の問題を考えていくための一助となることができれば幸いである。」

歴史の分析に留まらず、現在の日本が抱える問題に取組もうとする黒崎さんの姿勢は、Sylffがめざすリーダー像につながります。黒崎さんのこれからの活躍に期待しています。