東京財団 外交史ブックレビュー

東京財団 外交史ブックレビューvol.001

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.001━2007.07.10━
      ◆◆ 東京財団 外交史ブックレビュー ◆◆

     編集・発行:東京財団政治外交検証プロジェクト
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※本メールマガジンは、東京財団政治外交検証プロジェクト
北岡伸一主任研究員)が発行しています。日本外交の実務
に携わっている方や研究者の方に、外交に関する優れた研究
を紹介し、理解を共有することを目指します。気鋭の研究者
によるブックレビューを中心に毎月一回お届けします。


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  【創刊号 目次】

1.創刊趣意 北岡伸一(東京財団主任研究員、東京大学教授)

2.政治外交ブック・レビュー 「政党と官僚の近代」清水唯一朗著
/評者 五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)

政治外交ブック・レビュー 「日本軍のインテリジェンス」小谷賢著
/評者 畑野勇(日本国際問題研究所客員研究員)

3.読書案内 インテリジェンスを考える上での必読書―アメリカ編
/評者 小谷賢(防衛省防衛研究所教官)

4.今月の新刊・書評紹介

5.編集後記

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1.創刊趣意 北岡伸一(東京財団主任研究員、東京大学教授)


はじめに――日本外交に関心を持つ方々へ

清沢洌は『外交史』(1940年)の序文に、「外交史に関する知識が、今日ほど
必要とされてゐる時はない。この知識を基礎とせずして造りあげられたる外交
政策と、外交輿論は、根のない花である」と書いています。

これは、時代を超えた真理だと思います。現代の日本は、当時ほど切迫した
状況にあるわけではありませんし、当時とは比較にならないほどの言論の自由
があり、情報収集も容易です。にもかかわらず、現代の外交政策や外交世論が、
正確な外交史の知識の上に築かれているとは、決して言えないのではないでしょうか。

その一方で、戦後外交に関する研究は着実に発展しつつあります。外交文書の
公開や情報公開制度の利用等によって、新しい史料が利用可能となり、アメリカ等
外国の文書に主として依拠した研究から、より総合的複眼的な視点が提示されつつ
あります。それらの研究は、しかし、まだ専門研究者の間で共有されるだけで、
広い外交論議の基礎として十分利用されてはいないというのが現状です。

このニューズレターは、そうしたギャップを埋めることを目指しています。
すなわち、戦後日本外交史およびこれに密接に関連する分野(日米関係史、
日中関係史、その他の国際政治史、日本政治史、地域研究など)おいて最近
登場した優れた研究を、対外政策に関心を持つ幅広い層、いわゆる
foreign policy constituency に紹介しようとするものです。日本外交を
「根のある花」にするために、ささやかな貢献ができれば幸いです。



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2.政治外交ブック・レビュー

※このコーナーでは、日本政治外交に関連する最近の優れた書籍・論文等を、
気鋭の研究者が紹介します。特に外交の実務に携わる方々は必須のもの
ばかりです。是非お読みいただければと思います。


「政党と官僚の近代」清水唯一朗著 藤原書店
/評者 五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)

本書は、国会開設が決まった明治十四年政変(1881年)から、政党内閣期を
創始した護憲三派内閣期(~1925年)までの、政官関係の変遷を論じたもの
である。この時期の政官関係の理解は、頑なに権力を独占しようとする藩閥
政府ないし官僚に対して、動機が民主化であるか猟官であるかはさておき政党
が挑戦する、という図式が有力であった。

これに対し著者は、立憲制の下で行政の専門性・中立性を維持するためには、
行政の合理性と政治の自己抑制が必要であるという認識が、藩閥内にも
(例えば伊藤博文)政党の指導者にも(例えば大隈重信・板垣退助)あった
と主張する。この必要を満たす均衡点としての「政党内閣型統治構造」に、
政官の諸アクターが相克しつつ到達するまでの壮大なドラマが、本書である…

続きはhttp://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=33をクリック(東京財団HPへ)



「日本軍のインテリジェンス」小谷賢著 講談社選書メチエ
/評者 畑野勇(日本国際問題研究所客員研究員)

本書は、日本のインテリジェンス研究が立ちおくれている現状をふまえ、
旧日本軍の情報活動の状況を情報収集から分析・政策決定から実行までトータル
に把握し、その評価を行うことによって現代日本のインテリジェンス体制構築に
関する知見を得ることを目的としている。

冒頭で日本のインテリジェンス研究が立ち後れている現状の指摘がなされ、第1・
2・3章では日本陸海軍の情報収集活動の状況を、通信情報・人的情報・防諜の
視点から、最新の研究動向や成果を取り入れて詳細に紹介している。第4・5章
では日本軍が得た情報をいかに分析・評価・そして利用したのかについて、
成功・失敗いずれについても実例を取りあげながら明らかにしている。

特に、成功の事例については、これまで一般向けに刊行された書籍では明らかで
なかった事実が多々紹介されており、本書がこれまでのインテリジェンス研究の
成果に依拠したものでも、また当事者の回想録やこれまで広く活用されている
一次文献の内容をなぞったものでもなく、オリジナリティあふれる重厚な研究の
成果をコンパクトにまとめた、すぐれた出版物であることを証明するものと
なっている…

続きはhttp://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=34をクリック(東京財団HPへ)


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3.読書案内

インテリジェンスを考える上での必読書―アメリカ編
/評者 小谷賢(防衛省防衛研究所教官)

本書評は、インテリジェンスの良書について紹介していくものである。
日本ではインテリジェンス分野に対する馴染みが薄いため、多くの読者にとって
スパイ小説と学術的なインテリジェンスの著作を区別するのが困難かもしれない。
このコーナーでは、インテリジェンスの初学者用で、読みやすいものをチョイス
しながら紹介していく…

続きはhttp://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=50をクリック(東京財団HPへ)


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4.今月の新刊・書評紹介

4月に刊行された政治外交関連の新刊図書・雑誌記事・書評のリストです。
↓外交に関する情報収集や研究のデータベースとしてお役立てください。
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=51

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◆編集後記

本年4月から、北岡伸一東京財団主任研究員(東京大学教授)をプロジェクト
リーダーとして、新しく「政治外交検証プロジェクト」が始まりました。
それにあわせて、メールマガジンとしてニューズレターを毎月刊行すること
になります。創刊の趣意につきましては、本ニューズレター巻頭の、北岡先生の
文章をお読み頂ければ幸いでございます。

五百旗頭薫東京大学准教授と私の二人で、編集後記を担当させて頂き、編集作業
は東京財団の佐藤孝弘氏と慶應義塾大学大学院の林大輔氏に担当頂いております。
このニューズレターを通じて、本研究プロジェクトの活気溢れる会合の様子が
読者の方に伝わり、また毎月刊行される多くの戦後日本外交に関連する文献や
書評などを知って頂ければ、嬉しい限りでございます。

戦後日本外交は、国際社会の動向と不可分に結びつきながら展開してきました。
そのような認識から、日本外交を狭い文脈に位置づけるのではなく、広い国際政治史
の流れの中に位置づけることが本プロジェクトの特徴の一つでもございます。
日中関係、日韓関係、日米関係などの専門家にもご参加頂き、また私のような
イギリス外交史を研究する者も末席に加えて頂きました。幅広い視野から、戦後
日本外交の歩みを位置づける作業は、とても意義深いことかと感じております。
毎月掲載される予定のブック・レビューや読書案内を、どうぞご期待下さいませ!
(細谷)

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政治外交検証プロジェクトニュース 創刊号(2007年7月10日発行)
発行元:東京財団政治外交検証プロジェクト北岡伸一主任研究員
    〒107-0052 港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階 東京財団


編集責任者:
細谷雄一(慶應義塾大学法学部准教授)
五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)

編集担当:
林大輔(慶應義塾大学大学院法学政治学研究科)
相原清(東京財団研究部プログラム・オフィサー)

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