東京財団 外交史ブックレビュー

東京財団 外交史ブックレビューvol.007

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.007━2008.2.15━━━━━
     ◆◆ 東京財団 外交史ブックレビュー ◆◆

   編集・発行:東京財団政治外交検証プロジェクト

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


はじめに――日本外交に関心を持つ方々へ
/北岡伸一(東京財団主任研究員、東京大学教授)

清沢洌は『外交史』(1940年)の序文に、「外交史に関する知識が、今日ほど
必要とされてゐる時はない。この知識を基礎とせずして造りあげられたる外交
政策と、外交輿論は、根のない花である」と書いています。

これは、時代を超えた真理だと思います。現代の日本は、当時ほど切迫した状
況にあるわけではありませんし、当時とは比較にならないほどの言論の自由が
あり、情報収集も容易です。にもかかわらず、現代の外交政策や外交世論が、
正確な外交史の知識の上に築かれているとは、決して言えないのではないでし
ょうか。

その一方で、戦後外交に関する研究は着実に発展しつつあります。外交文書の
公開や情報公開制度の利用等によって、新しい史料が利用可能となり、アメリ
カ等外国の文書に主として依拠した研究から、より総合的複眼的な視点が提示
されつつあります。それらの研究は、しかし、まだ専門研究者の間で共有され
るだけで、広い外交論議の基礎として十分利用されてはいないというのが現状
です。

このニューズレターは、そうしたギャップを埋めることを目指しています。す
なわち、戦後日本外交史およびこれに密接に関連する分野(日米関係史、日中
関係史、その他の国際政治史、日本政治史、地域研究など)において最近登場し
た優れた研究を、対外政策に関心を持つ幅広い層、いわゆるforeign policy
constituency に紹介しようとするものです。日本外交を「根のある花」にす
るために、ささやかな貢献ができれば幸いです。

----------------------------------------------------------------------

  【第7号 目次】

1.政治外交ブックレビュー

『冷戦期中国外交の政策決定』牛軍著(真水康樹訳)
/評者 松田康博(防衛省防衛研究所主任研究官)

『アジアのなかの日本』田中明彦著
/評者 佐藤晋(二松学舎大学国際政治経済学部准教授)


2.読書案内(短評)

『歴代の駐日英国大使』サー・ヒュー・コータッツィ編著(日英文化交流研究会訳)
/評者 細谷雄一(慶應義塾大学法学部准教授)

『大航海時代の東アジア―日欧通交の歴史的前提』伊川健二著
/評者 五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)


3.新刊・書評紹介


編集後記


------------------------------------------------------------------------


1.政治外交ブックレビュー

※このコーナーでは、日本政治外交に関連する最近の優れた書籍・論文等を、
気鋭の研究者が紹介します。特に外交の実務に携わる方々は必須のもの ばか
りです。是非お読みいただければと思います。


『冷戦期中国外交の政策決定』牛軍著(真水康樹訳)
/評者 松田康博(防衛省防衛研究所主任研究官)

本書は、著者である牛軍・北京大学国際関係学院教授がいう「冷戦前期」、
すなわち毛沢東が中国の最高指導者であった1950-1976年の時期における
中国外交の政策決定過程を分析した研究書である。著者は、もともと中国
共産党史出身の中国対外関係史専門家であり、中国国内の一次資料に通じ
ている…

↓続きはこちらをクリック(東京財団HPへ)
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=203

『アジアのなかの日本』田中明彦著
/評者 佐藤晋(二松学舎大学国際政治経済学部准教授)

1970年代後半のアジアにおいて民主主義国であり、かつ経済発展を遂げてい
た国は日本をおいて他になかった。これに韓国が続き、台湾が続き……イン
ドネシアが続き……。こうしたアジアにおける変容を詳細に追って跡付けて
いくという仕事が本書の最大の魅力である。その上で、それらのアジアにお
ける重要な出来事の中での日本外交の営みを、全体として把握していく試み
がなされる…

↓続きはこちらをクリック(東京財団HPへ)
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=205

-----------------------------------------------------------------------

2.読書案内(短評)

『歴代の駐日英国大使』サー・ヒュー・コータッツィ編著(日英文化交流研究会訳)
/評者 細谷雄一(慶應義塾大学法学部准教授)

1859年に駐日英国公使館が設置され、サー・ラザフォード・オルコックが横浜
に到着し初代駐日公使として着任したときから、本書の第1章は始まる。1972年
で本書を閉じているのは、編者のコータッツィによれば、「国立公文書館によっ
て施行されている三〇年規制によってまだ公開できていないので、我々はこの概
説を一九七二年で故意に打ち切った」(まえがき)からである。言い換えるなら
ば、本書の対照する時期に関しては、いずれの章も、豊富な一次史料に基づいた
信頼できる研究成果といえる…

↓続きはこちらをクリック(東京財団HPへ)
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=208

『大航海時代の東アジア―日欧通交の歴史的前提』伊川健二著
/評者 五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)

日本研究が世界史に連なる展望を切り拓こうとする場合、大航海時代の東アジア
(本書では東南アジアを含めた広く環シナ海地域を指す)の国際関係は、有望な
テーマである。単に大航海時代のヨーロッパが東アジアと交流したためではない。
ヨーロッパが東アジアを「発見」し得た前提として、一五・一六世紀の東アジア
内在的な大航海時代、交通網の発展があったためである…

↓続きはこちらをクリック(東京財団HPへ)
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=210
-------------------------------------------------------------------

3.新刊・書評紹介

2007年11、12月に刊行された政治外交関連の新刊図書・雑誌記事・書評のリス
トです。外交に関する情報収集や研究のデータベースとしてお役立てください。

↓11月分はこちらをクリック(東京財団HPへ)
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=206
↓12月分はこちらをクリック(東京財団HPへ)
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=207
-------------------------------------------------------------------

◆編集後記

東京も雪で覆われる日が訪れ、寒さの厳しい日々が続いております。雪に包ま
れる景色は静寂であっても、国会は年度末へ向けて騒然としてきて、アメリカ
大統領選挙も熱を増してきました。2008年は日本政治の将来にとっても、アメ
リカ政治の将来にとっても、重要な一年になるような気がします。来年の今頃
は、日米両国でどのような政治が行われ、新大統領の下で日米関係がどのよう
になっているのか、興味が尽きません。
書店を覗くと次々と良書が刊行され、どの本を取り上げるか毎回迷うところで
す。1月の研究会から少し方式を変更しまして、より多くの良書を取り上げる
ことができますように、短評を多く扱うことにしました。時代を超えて、国境
を越えて、日本政治外交を考える上で示唆に富む著作を多角的に取り上げるこ
とで、あわただしい政治外交の日程を少しばかり落ち着いて点検できるような、
そのような機会になればと考えております。
このメルマガも少しずつ多くの読者の方々にお読みいただけるようになり、そ
れらの方々の何らかの示唆になり刺激となるような内容を提供できますように努
めてきました。冬の夜長に、あるいは暖房の効いた往復の通勤列車内で良い読書
を堪能できますよう願っております。

(細谷)

**********************************************************************
政治外交検証プロジェクトニュース 第7号(2008年2月15日発行)
発行元:東京財団政治外交検証プロジェクト(北岡伸一主任研究員)
    〒107-0052 港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階 東京財団
http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19

編集責任者:
細谷雄一(慶應義塾大学法学部准教授)
五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)

編集担当:
林大輔(慶應義塾大学大学院法学研究科)
相原清(東京財団研究部プログラム・オフィサー)

★★外交史ブックレビューの全バックナンバー閲覧は、東京財団の下記のURL
からが便利です。↓
http://www.tkfd.or.jp/ml/

**********************************************************************