東京財団 外交史ブックレビュー

東京財団 外交史ブックレビューvol.015

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.015━2008.12.25━━━━━
     ◆◆ 東京財団 外交史ブックレビュー ◆◆

   編集・発行:東京財団政治外交検証プロジェクト
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


はじめに――日本外交に関心を持つ方々へ
/北岡伸一(東京財団主任研究員、東京大学教授)

清沢洌は『外交史』(1940年)の序文に、「外交史に関する知識が、今日ほど
必要とされてゐる時はない。この知識を基礎とせずして造りあげられたる外交
政策と、外交輿論は、根のない花である」と書いています。

これは、時代を超えた真理だと思います。現代の日本は、当時ほど切迫した状
況にあるわけではありませんし、当時とは比較にならないほどの言論の自由が
あり、情報収集も容易です。にもかかわらず、現代の外交政策や外交世論が、
正確な外交史の知識の上に築かれているとは、決して言えないのではないでし
ょうか。

その一方で、戦後外交に関する研究は着実に発展しつつあります。外交文書の
公開や情報公開制度の利用等によって、新しい史料が利用可能となり、アメリ
カ等外国の文書に主として依拠した研究から、より総合的複眼的な視点が提示
されつつあります。それらの研究は、しかし、まだ専門研究者の間で共有され
るだけで、広い外交論議の基礎として十分利用されてはいないというのが現状
です。

このニューズレターは、そうしたギャップを埋めることを目指しています。す
なわち、戦後日本外交史およびこれに密接に関連する分野(日米関係史、日中
関係史、その他の国際政治史、日本政治史、地域研究など)において最近登場
した優れた研究を、対外政策に関心を持つ幅広い層、いわゆるforeign policy
constituency に紹介しようとするものです。日本外交を「根のある花」にす
るために、ささやかな貢献ができれば幸いです。

----------------------------------------------------------------------

  【第15号 目次】

1.政治外交ブックレビュー

『馬建忠の中国近代』岡本隆司著
     /評者 川島 真(東京大学大学院総合文化研究科准教授)

『戦後政治体制の起源 吉田茂の「官邸主導」』村井哲也著
     /評者 小宮一夫(東京大学文学部非常勤講師)

2.新刊・書評紹介


編集後記

---------------------------------------------------------------------

1.政治外交ブックレビュー

※このコーナーでは、日本政治外交に関連する最近の優れた書籍・論文等を、
気鋭の研究者が紹介します。特に外交の実務に携わる方々は必須のもの ばか
りです。是非お読みいただければと思います。


『馬建忠の中国近代』岡本隆司著
     /評者 川島 真(東京大学大学院総合文化研究科准教授)

本書は、坂野正高『中国近代化と馬建忠』(東京大学出版会、1985年)の一
種のオマージュでありながら、同時に坂野の著作を批判的に検討して、馬建
忠という決して著名とは言えない19世紀の人物を扱いつつ、近代中国史のナ
ラティブそのものを問い直そうという試みをおこなう、中国近代史の深層に
踏み込む著作である…

↓続きはこちらをクリック(東京財団HPへ)
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=375

『戦後政治体制の起源 吉田茂の「官邸主導」』村井哲也著
     /評者 小宮一夫(東京大学文学部非常勤講師)

1990年代後半、「官邸主導(首相主導)」の政治をめざす橋本内閣は、内閣
法を改正して内閣官房機能を強化し、首相が「重要政策に関する基本的な方針
」について発議できるようにした。また、大規模な省庁再編を行い、内閣が予
算や重要な経済政策の基本方針を立てるための組織である経済財政諮問会議を
内閣府に設置することを決めた。そして、21世紀に入り、小泉首相は…

↓続きはこちらをクリック(東京財団HPへ)
http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=376

-------------------------------------------------------------------

2.新刊・書評紹介

2008年10月に刊行された政治外交関連の新刊図書・雑誌記事・書評のリスト
です。外交に関する情報収集や研究のデータベースとしてお役立てください。

http://www.tkfd.or.jp/research/news.php?id=377
-------------------------------------------------------------------

◆編集後記

壬午事変の際の日本側の対応については読んだり聞いたりしておりましたが、
清朝側の対応をヴィヴィッドに記した馬建忠『東行三録』を読むことができ
、研究者としての歓びが体の底から湧き上がってきました。日清の間でどう
いう立場をとるかは朝鮮にとっての政策課題としてあり、政策の変遷もあっ
たのですが、それとは別の次元で、この時の清朝と日本では朝鮮との間に成
立するコミュニケーションの濃度が違うことを実感しました。入念な翻訳に
は原語への関心をかきたてる力があります。岡本先生に感謝申し上げます。

天候に恵まれた日もそうでない日もあり、感服する作品もあれば今後の課題
を思わせるものもありました。とにかく本について語り合うために人が集まり、
その本を準備する暇がなかったメンバーのために本が回覧され、うっすらと手
垢をつけて私の元に戻って参ります。本は時空を超えられないからこそ、それ
を手にとるために人が集まります。今年最後の例会は霜月末にあったのですが、
寒さを嘆く言葉が思い浮かびません。満足した者には無理なこと、このプロジェ
クトに関係された方々とメルマガ・ホームページを読んで下さった皆様に深く
御礼申し上げます。
(五百旗頭)

*******************************************************************

政治外交検証プロジェクトニュース 第15号(2008年12月25日発行)
発行元:東京財団政治外交検証プロジェクト(北岡伸一主任研究員)
    〒107-0052 港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階 東京財団
http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19

編集責任者:
五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)
宮城大蔵(政策研究大学院大学政策研究科助教授)

編集担当:
林大輔(慶應義塾大学大学院法学研究科)
相原清(東京財団政策研究部 研究員兼プログラム・オフィサー)

★★外交史ブックレビューの全バックナンバー閲覧、配信登録は、東京財団の
下記のURLからが便利です。
http://http://www.tkfd.or.jp/ml3/

*******************************************************************