東京財団 外交史ブックレビュー

東京財団 外交史ブックレビューvol.031

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2011.05.27
◆◇ 東京財団 外交史ブックレビュー Vol.031 ◇◆
      http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19
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▼ ブックレビュー

日本政治外交に関連する最近の優れた書籍・論文等を、気鋭の研究者が紹介し
ます。外交の実務に携わる方々には必須のものばかりです。是非お読みくださ
い。

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│『日中国交正常化の政治史』
│ 井上正也著(名古屋大学出版、2010年)
│  評者:佐藤晋(二松学舎大学国際政治経済学部教授)
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本書は、1950年代初頭から1972年の日中国交正常化に至るまでの、日本の中国
政策の変遷を、国際環境の影響と国内政治とりわけ保守勢力内部の対立の影響
を織り込みつつ、日本側特に外務省の政策構想を中心として叙述したものであ
る。日米中台の政府資料を慫慂し、20年という比較的長いスパンの中で生じた
日中関係の主要事件を、すべて一次資料によって描ききった力作である。

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 http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=755

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│『自民党長期政権の政治経済学 利益誘導政治の自己矛盾』
│ 斉藤淳著(勁草書房、2010年)
│  評者:小宮一夫(駒澤大学法学部非常勤講師)
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1955年11月、保守合同によって誕生した自由民主党(自民党)は、2009年8月
末の総選挙で大敗し、民主党に政権を明け渡すまで、非自民連立政権(細川・
羽田内閣)が存続した1993年8月上旬から翌年6月末までの一年弱を除いて一貫
して政権の座にあった(社会党とさきがけとの連立政権である村山内閣期を含
む)。結党以来、半世紀あまり政権の座にあった自民党は、世界でもたぐいま
れな優越政党としての歴史を有している。

これまで自民党がなにゆえ長期政権を維持し得たのかについて、研究者はさま
ざまな切り口(分析視角)から説明を行ってきた。これから紹介する本書も、
海外で日本政治を研究する気鋭の若手研究者による自民党長期政権の謎を解明
した専門書である。

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 http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=745

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▼ 新刊・書評紹介

2011年4月に刊行された政治外交関連の新刊図書・雑誌記事・書評のリストで
す。外交に関する情報収集や研究のデータベースとしてお役立てください。

 4月の新刊図書・記事・書評リストはこちら↓
 http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=756
 
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▼ 編集後記

一定の時間が経過し熱気が冷めた後になって、事の本質がより明瞭になること
が往々にしてあります。日中国交正常化と自民党の長期一党支配は、戦後日本
の内政・外交それぞれにおける代表的な問題でした。そこで形成された構図の
上に、今日の状況が成り立っていることに改めて気づかされます。そこから何
を覆し、何を改善するのか。刷新と継承のダイナミズムが、21世紀日本の「歴
史」を刻んでいくことになります。(宮城)

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日本外交に関心を持つ方々へ
北岡伸一(東京財団上席研究員、東京大学教授)

清沢洌は『外交史』(1940年)の序文に、「外交史に関する知識が、今日ほど
必要とされてゐる時はない。この知識を基礎とせずして造りあげられたる外交
政策と、外交輿論は、根のない花である」と書いています。

これは、時代を超えた真理だと思います。現代の日本は、当時ほど切迫した状
況にあるわけではありませんし、当時とは比較にならないほどの言論の自由が
あり、情報収集も容易です。にもかかわらず、現代の外交政策や外交世論が、
正確な外交史の知識の上に築かれているとは、決して言えないのではないでし
ょうか。

その一方で、戦後外交に関する研究は着実に発展しつつあります。外交文書の
公開や情報公開制度の利用等によって、新しい史料が利用可能となり、アメリ
カ等外国の文書に主として依拠した研究から、より総合的複眼的な視点が提示
されつつあります。それらの研究は、しかし、まだ専門研究者の間で共有され
るだけで、広い外交論議の基礎として十分利用されてはいないというのが現状
です。

このニューズレターは、そうしたギャップを埋めることを目指しています。す
なわち、戦後日本外交史およびこれに密接に関連する分野(日米関係史、日中
関係史、その他の国際政治史、日本政治史、地域研究など)において最近登場
した優れた研究を、対外政策に関心を持つ幅広い層、いわゆるforeign policy
constituency に紹介しようとするものです。日本外交を「根のある花」にす
るために、ささやかな貢献ができれば幸いです。

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『外交史ブックレビュー』第31号(2011年5月27日発行)

発行元:東京財団 政治外交検証研究会(リーダー:北岡伸一上席研究員)
    〒107-0052 港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階
    http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19

編集責任者:五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)
      細谷雄一(慶應義塾大学法学部准教授)
      宮城大蔵(上智大学外国語学部准教授)

編集担当:林大輔(慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程)
     松下薫(東京財団広報渉外担当オフィサー)

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