東京財団 外交史ブックレビュー

東京財団 外交史ブックレビューvol.036

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2012.03.08
     ◆◇ 東京財団 外交史ブックレビュー Vol.036 ◇◆
     http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
───────────────────────────────────

日本政治外交に関連する最近の優れた書籍・論文等を、気鋭の研究者が紹介し
ます。外交の実務に携わる方々には必須のものばかりです。是非お読みくださ
い。

……………………………………………………………………………………………

■┓『公文書をつかう ― 公文書管理制度と歴史研究』瀬畑源著
┃┃ (青弓社、2011年)
┃┃
┗┛ 評者:高橋和宏(防衛大学校講師)

2011年4月、公文書を「国民共有の知的資源」と定めた公文書管理法が施行さ
れ、公文書管理のあり方が見直された。同法によって国立公文書館や外務省外
交史料館、宮内庁宮内公文書館など(国立公文書館等)が保存する歴史資料
(特定歴史公文書等)の利用も法的権利として定められ、利用方法も大きく変
化した。したがって、今後は各館の利用にあたって公文書管理法を理解してお
く必要があるが、歴史研究者にとって、各館が保存する資料自体には馴染みが
あっても、法律の逐条解説本などはやや畑違いで、積極的な読書欲は沸かない
かもしれない。本書は、そうした歴史研究者と法律とのギャップに架橋し、理
解を助ける格好の手引きである。

 続きはこちら↓
 http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=912

……………………………………………………………………………………………

■┓『戦後西ドイツ外交の分水嶺 ― 東方政策と分断克服の戦略、
┃┃ 1963‐1975年』妹尾哲志著
┃┃ (晃洋書房、2011年)
┃┃
┗┛ 評者:板橋拓己(成蹊大学法学部助教)

本書は、ドイツ連邦共和国(以下、西ドイツ)のブラント政権が推進した東方
政策(Ostpolitik)について「多角的アプローチ」を試みた実証研究であり、
著者の十年余りに亘る東方政策研究の結晶である。すでにボン大学に提出した
博士論文がドイツ語で公刊されているが(Senoo Tetsuji, Ein Irrweg zur
deutschen Einheit? Egon Bahrs Konzeptionen, die Ostpolitik und die
KSZE 1963-1975, Peter Lang, 2011)、著者自身の言を借りると、「今回日本
語で出版するにあたって、内容的にはドイツ語の博士論文からのスリム化を図
る一方で、『冷戦史の主体としてのドイツ』と『東西の狭間のドイツ』の二つ
の分析視角を明示した点」(「自著紹介」『ユーラシア・ウォッチ』第205号、
2011年9月1日)が本書固有の特徴である。また、ブラントの側近エゴン・バー
ル(Egon Bahr, 1922-)の構想を軸に論じている点、西側諸国との意見調整に
焦点を当てている点、内政にも眼を向けている点などが、一目して分かる特色
だろう。

 続きはこちら↓
 http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=913

───────────────────────────────────
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

日本外交に関心を持つ方々へ

北岡伸一(東京財団上席研究員、東京大学教授)

清沢洌は『外交史』(1940年)の序文に、「外交史に関する知識が、今日ほど
必要とされてゐる時はない。この知識を基礎とせずして造りあげられたる外交
政策と、外交輿論は、根のない花である」と書いています。

これは、時代を超えた真理だと思います。現代の日本は、当時ほど切迫した状
況にあるわけではありませんし、当時とは比較にならないほどの言論の自由が
あり、情報収集も容易です。にもかかわらず、現代の外交政策や外交世論が、
正確な外交史の知識の上に築かれているとは、決して言えないのではないでし
ょうか。

その一方で、戦後外交に関する研究は着実に発展しつつあります。外交文書の
公開や情報公開制度の利用等によって、新しい史料が利用可能となり、アメリ
カ等外国の文書に主として依拠した研究から、より総合的複眼的な視点が提示
されつつあります。それらの研究は、しかし、まだ専門研究者の間で共有され
るだけで、広い外交論議の基礎として十分利用されてはいないというのが現状
です。

このニューズレターは、そうしたギャップを埋めることを目指しています。す
なわち、戦後日本外交史およびこれに密接に関連する分野(日米関係史、日中
関係史、その他の国際政治史、日本政治史、地域研究など)において最近登場
した優れた研究を、対外政策に関心を持つ幅広い層、いわゆるforeign policy
constituency に紹介しようとするものです。日本外交を「根のある花」にす
るために、ささやかな貢献ができれば幸いです。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
───────────────────────────────────
ブックレビューへのご意見・ご感想は info@tkfd.or.jp までお寄せください。

▼ バックナンバー閲覧、配信登録はこちら
 http://www.tkfd.or.jp/ml/

▼ 配信停止はこちら
 

───────────────────────────────────
**********************************************************************

『外交史ブックレビュー』第36号(2012年3月8日発行)

発行元:東京財団 政治外交検証研究会(リーダー:北岡伸一上席研究員)
    〒107-0052 港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階
    http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19

編集責任者:五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)
      細谷雄一(慶應義塾大学法学部教授)
      宮城大蔵(上智大学外国語学部准教授)

編集担当:林大輔(慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程)
     松下薫(東京財団広報渉外担当オフィサー)

**********************************************************************