東京財団 外交史ブックレビュー

東京財団 外交史ブックレビューvol.039

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2012.07.11
     ◆◇ 東京財団 外交史ブックレビュー Vol.039 ◇◆
     http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19
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▼▽ ブックレビュー

日本政治外交に関連する最近の優れた書籍・論文等を、気鋭の研究者が紹介し
ます。外交の実務に携わる方々には必須のものです。是非お読みください。


■┓『外交官の誕生 ― 近代中国の対外態勢の変容と在外公館』
┗┛  箱田恵子著(名古屋大学出版会、2012年)

   評者:川島真(東京大学大学院総合文化研究科准教授)

本書は、中国近代外交史研究の根源的問題に、精緻な実証力と卓抜した構想力
を以て取り組もうとした意欲作である。その根源的問題とは、中国近代外交史
に根付いてしまっている、「伝統」と「近代」の分離という問題である。この
分野では、「夷務→洋務→外務→外交」という対外関係の変容が指摘されなが
らも、清代の「伝統」とされるコンテキストと、民国時期のナショナリズムに
裏打ちされた「近代」の外交の叙述が分断され、両者の変容過程は十分に描か
れてこなかったのである。

本書は、その問題を克服すべく、「近代」外交を担ったとされる職業外交官に
注目する。なぜなら、彼らが育っていく過程はまさに「伝統」とされている時
代であり、その彼らが「近代」とされる時代に活躍をするからである。この課
題は、中国における職業外交官の成立という論点を提起した坂野正高に通じ
る。だが著者は坂野が外交官登用制度などの「制度」に比較的注目したのに対
して、1870年代以来の在外公館に注目する。著者の設定する課題は明白であ
る。それは、「『洋務』の一部として始まった清国在外公館において、外交そ
れ自体の価値が認識されていく過程と、この外交交渉の現場において外交人材
が養成され、その中から民国外交部の基礎を築く職業外交官が誕生する過程を
明らかにしていきたい」(8頁)ということであった。


 続きはこちら↓
 http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=998

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▼▽ 新刊図書・雑誌記事・書評紹介

2012年5月に刊行された政治外交関連の新刊図書・雑誌記事・書評のリストで
す。外交に関する情報収集や研究のデータベースとしてお役立てください。

◎ 5月のリストはこちら↓
 http://www.tkfd.or.jp/research/project/news.php?id=986

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           日本外交に関心を持つ方々へ

          北岡伸一(東京財団上席研究員)

清沢洌は『外交史』(1940年)の序文に、「外交史に関する知識が、今日ほど
必要とされてゐる時はない。この知識を基礎とせずして造りあげられたる外交
政策と、外交輿論は、根のない花である」と書いています。

これは、時代を超えた真理だと思います。現代の日本は、当時ほど切迫した状
況にあるわけではありませんし、当時とは比較にならないほどの言論の自由が
あり、情報収集も容易です。にもかかわらず、現代の外交政策や外交世論が、
正確な外交史の知識の上に築かれているとは、決して言えないのではないでし
ょうか。

その一方で、戦後外交に関する研究は着実に発展しつつあります。外交文書の
公開や情報公開制度の利用等によって、新しい史料が利用可能となり、アメリ
カ等外国の文書に主として依拠した研究から、より総合的複眼的な視点が提示
されつつあります。それらの研究は、しかし、まだ専門研究者の間で共有され
るだけで、広い外交論議の基礎として十分利用されてはいないというのが現状
です。

このニューズレターは、そうしたギャップを埋めることを目指しています。す
なわち、戦後日本外交史およびこれに密接に関連する分野(日米関係史、日中
関係史、その他の国際政治史、日本政治史、地域研究など)において最近登場
した優れた研究を、対外政策に関心を持つ幅広い層、いわゆるforeign policy
constituency に紹介しようとするものです。日本外交を「根のある花」にす
るために、ささやかな貢献ができれば幸いです。

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『外交史ブックレビュー』第39号(2012年7月11日発行)

発行元:東京財団 政治外交検証研究会(リーダー:北岡伸一上席研究員)
    〒107-0052 港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階
    http://www.tkfd.or.jp/research/project.php?id=19

編集責任者:五百旗頭薫(東京大学社会科学研究所准教授)
      細谷雄一(慶應義塾大学法学部教授)
      宮城大蔵(上智大学外国語学部准教授)

編集担当:林大輔(慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程)
     松下薫(東京財団広報渉外担当オフィサー)

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