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『ティーパーティ運動の研究―アメリカ保守主義の変容』(NTT出版)

January 18, 2012

東京財団 「現代アメリカ」プロジェクト では、このたび、アメリカの草の根大衆運動である「ティーパーティ」運動に関する分析をまとめた 『ティーパーティ運動の研究―アメリカ保守主義の変容』 (NTT出版)を出版しました。ティーパーティは2010年中間選挙において、共和党が下院で多数党の地位を奪還し上院でも議席を増やしたことで一躍脚光を浴びることになりました。ティーパーティ運動の支持者の中には共和党に批判的な人々もいますが、その多くが共和党を支持したことから、この運動の盛り上がりが共和党の大勝利につながったとみられています。

ティーパーティは茶会党と訳されることもありますが、いわゆる政党ではなく、インターネットを通じて広がっていった草の根レベルの保守的な大衆運動です。したがって、統一された理念があるわけでもなく、カリスマ的なリーダーが存在するわけでもありません。運動のきっかけはオバマ政権の経済政策や社会保障政策に対する抗議運動でした。税金に抗議するという意味で、1773年のボストン茶会事件にちなんだ「ティーパーティ」の名称が使われるようになったのです。

アメリカでは、2012年11月の大統領選挙に向けて、共和党では1月3日のアイオワ州党員集会を皮切りに、全米各州で予備選挙が実施されていますが、ティーパーティ運動の支持者がどのような投票行動をとるか、大統領選の行方を決める一つの鍵になるとみられています。また、保守とリベラルの深刻な分裂に悩むアメリカ社会において、この運動がアメリカの内政や外交にどのような影響を与えていくのか、注目されるところです。

本書は次の各章からなり、「現代アメリカ」プロジェクトのメンバーが執筆を分担しました。

はじめに 久保文明(東京財団上席研究員、東京大学大学院法学部教授)

第1章  石川葉菜(東京大学大学院法学政治学研究科博士課程)
「ティーパーティ運動を理解するためのフレームワーク」
第2章  中山俊宏(青山学院大学国際政治経済学部教授)
「ティーパーティ運動とインスティテューションの崩壊」
第3章  渡辺将人(北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院准教授)
「ティーパーティと分裂要因」
第4章  廣瀬淳子(国立国会図書館調査及び立法考査局海外立法情報課長)
「ティーパーティ議員連盟とティーパーティ系議員の影響力
第5章  宮田智之(東京大学アメリカ太平洋地域研究センター助教)
「ティーパーティ運動の一つの背景」
第6章  細野豊樹(共立女子大学国際学部教授)
「ティーパーティがもたらす統治・公共政策における三つの混乱」
第7章  梅川健(米国イェール大学比較研究センター大学院フェロー)
「ティーパーティ運動と『憲法保守』」
第8章  前嶋和弘(文教大学人間科学部准教授)
「ティーパーティ運動とソーシャルメディア」
第9章  横江公美(米国ヘリテージ財団客員上席研究員)
「ティーパーティにおける女性とソーシャルメディアの関係」
第10章  清原聖子(明治大学情報コミュニケーション学部専任講師)
「ティーパーティ運動とテレコミュニケーション政策」

ティーパーティ運動を専門に取り上げた書籍はまだ少なく、本書がアメリカ政治に関心を持つ皆様にとって役に立つことを願っています。

(政策研究 片山正一 )

    • 元東京財団研究員兼政策プロデューサー
    • 片山 正一
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