タイプ
レポート
プロジェクト
日付
2011/5/17

【生命倫理サロン】第5回 子どもの移植? ~15歳未満脳死臓器提供第一例から考える

⇒ 第5回テーマ:子どもの移植? ~15歳未満脳死臓器提供第一例から考える

⇒ 開催日時:2011年4月26日(火)18:00-20:00

⇒ 開催場所:日本財団ビル3F 東京財団内会議室

⇒ 概要説明(ねらい)

4月12日から13日にかけて、改正臓器移植法に基づく、15歳未満の少年からの脳死臓器提供第一例が行われました。

このケースは、法改正で期待されたような「子どもの命を救う移植」になったでしょうか。脳死と臓器提供に至る経緯事情について、公表されていない部分があり、非常に多くのことを考えさせる例ではなかったでしょうか。

今回のサロンでは、みなさんがこのケースをどうみたか、率直に意見交換をすることで、子どもの臓器移植について何をどう考えなければならないか、あらためて話し合う機会としたいと思います。

⇒ 議論の展開

【背景】
・提供者の年齢「10歳以上15歳未満」
・移植を受けた患者は、すべて小児ではない(心臓10代後半、肺50代、肝臓20代、膵・腎30代、腎60代)
・提供者の脳死に至った原因「交通事故による重傷頭部外傷」?

【このケースをどうみたか】
・法改正時に「子どもの移植」として期待されたことだったか
・これまでの大人の提供の延長とみるべきではないか
・「どうしてこんなケースで」、「このようなケースだからこそ」か

【臓器提供に至る手続き】
・病院倫理委員会は、背景事情をどこまで把握していたのだろうか
・問題は虐待の有無ではない⇒それに準じた配慮事項はあるのではないか

【今後の課題:情報公開のあり方】
・臓器はどのような亡くなり方をした人から出てくるか、隠さず知らされるべきではないか
 (「不都合な真実」は週刊誌まかせでよいのか/せめて非特定の統計情報を公開すべきではないか)
・一件ごとに提供者情報を出す国はほかにないが、移植ネットの毎月の集計発表時に、まとめて出したらどうか
 (必須情報:年齢、性別、死因、都道府県、持ちかけたのはどちらか、同意方法)
・検証会議は廃止、ケースごとの専門家チームの派遣に代え、その報告会見を通じて、機動的かつ過不足のない情報公開をしてはどうか

⇒ スピーカー紹介
ぬで島次郎(東京財団研究員) 

⇒ スピーカーからのコメント 

子どもの移植という当初のテーマを超えて、死後に臓器を遺すとはどういうことか、どこまでそれを受け入れることができるのかについて、参加してくださったみなさんと、一人一人の生死観と思いを交えて、深く議論することができました。

今回の大災害で、日々使っている電気がどこでどのようにつくられているのか、知らないではすまされないということを、私たちは思い知らされました。それと同じように、移植医療に供される臓器が、どのような亡くなり方をした人から出てくるのか、きちんと知らなくてはいけないと思います。脳死移植に対する賛否の議論は、その正確な情報を共有したうえでなされるべきでしょう。

みなさんと議論した脳死臓器提供をめぐる情報公開のあり方について、これからもよりよい方策を求め、訴えていきたいと思います。 

⇒ 参加者のコメント 

・小児臓器移植の国内最初であるだけに、臓器移植の当事者と社会の間の意識のギャップを埋めるべく、正確な情報を適切な方法で公開できる事例であったらと思います。最初の例だけは、メディアにより暴露されるのではなく、倫理委員会の判断基準などを明確に公開してほしかったです。その中で、様々な議論の上でより良い制度にかえていくのが理想ではないでしょうか。今後もこのようなケースが増えていくと思いますが、どのように展開されていくかが気になります。(20代男性)