現代病理(2007-09)

実施年度

2007-09年

研究の背景と目的

現代文明の「病理」の解明

地球という惑星は約46億年の歴史をもっています。私たち人間はこの地球の上に「人間圏」という圏域をつくって生活していますが、この人間圏の形成が始まったのはわずか数万年前です。そして、人類の経済活動が地球の物質やエネルギーの循環に影響を及ぼすようになったのはここ数百年のことであり、さらに、この影響が目に見えて大きくなったのは最近百年のことです。化石燃料の大量消費により、いまや私たちは人間圏がなかった時代に比べ約10万倍ものスピードで地球圏の物質やエネルギーを利用し、自らの物質的・経済的欲望を満たしています。今後もこのスピードで開発を進めると、地球というシステムそのものが危機を迎えてしまうでしょう。私たち人類は物質やエネルギーを利用するスピードを落とすべきであり、それを支える新たな価値観を構築しなければなりません。

そこで、こうした問題意識のもと、「現代病理研究プロジェクト」では、深刻化する地球環境問題や現代文明が直面する様々な課題の解決のために、現代社会に特徴的な現象に焦点を当てて議論していきます。「人々が利潤・効率など個人の欲望を満たすために地球資源を消費し、社会インフラ(インターネットや制度等)を整備し続けてきた結果、社会や人々の暮らしの変化が暴走・加速し、歯止めが利かなくなっている状態」を「病理」と仮定し、そこから現代社会が抱える諸課題の本質を探っていくことを目指します。現代における「命の扱い」「食」「金融」といった具体的事象を客観的データに基づいて分析し、「実体の有無」、「多様性の喪失」、「スピード」など独自の視点から議論を深めることで、こうした文明の行き過ぎた発展・拡大の歯止めとなりうる本質的な要素と次の文明の機軸を探っていきます。


研究会メンバー

  • リーダー:
  • 松井孝典 特別上席研究員/千葉工業大学惑星探査研究センター所長
  • コアメンバー:
  • 安田喜憲 東京財団上席研究員/国際日本文化研究センター教授
  • 米本昌平 東京大学先端科学技術研究センター特任教授
  • 長谷川眞理子 総合研究大学院大学先導科学研究科教授
  • 松原隆一郎 東京大学大学院総合文化研究科教授
  • 加藤秀樹 東京財団理事長

 

報告書

これまでの議論の成果を月刊誌に連載予定です。



研究会の全体像

テーマにそって、データに基づく現状報告、ゲストによるコメント、全体での議論を行いました。

    • ◆2009年度
    • これまでの議論の発信(月刊誌連載予定)
    • ◆2008年度
    • 第1回 2008年5月14日 「自殺と文明」
    • 開催報告
    • 第2回 2008年7月2日 「自殺と文明(2)」
    • 開催報告
    • 第3回 2008年9月22日 「フィリピンの都市貧困層の社会ネットワークに学ぶ」
    • ゲスト: 中西 徹氏 (東京大学大学院総合文化研究科教授)
    • 開催報告
    • 第4回 2008年10月14日 「金融と文明」

 

    • ゲスト: 池尾和人氏 (東京財団上席研究員/慶応義塾大学経済学部教授)
    • 開催報告
    • 第5回 2008年11月7日 「ペットと文明」
    • ゲスト: 新島典子氏 (ヤマザキ動物看護短期大学准教授)
    • 開催報告
    • 第6回 2009年1月16日 これまでの議論のまとめ
    • 開催報告
    • 第7回 2009年4月1日 「貧困問題」
    • ゲスト: 阿部彩氏 (国立社会保障・人口問題研究所国際関係部第二室長)
    • 開催報告
    • 第8回 2009年5月20日 議論の総括
    • ◆2007年度
    • 第1回 2007年7月20日 論点整理
    • 開催報告
    • 第2回 2007年9月26日 「文明と金融」
    • ゲスト: 岩井克人氏 (東京財団主任研究員/東京大学経済学部教授)
    • 開催報告
    • 第3回 2007年10月24日「文明と自殺」
    • ゲスト:長谷川眞理子氏(総合研究大学院大学先導科学研究科教授)、首藤健治氏(前厚生労働省大臣官房統計情報部)
    • 開催報告
    • 第4回 2007年11月12日「文明と食」
    • ゲスト:石毛直道氏(国立民族学博物館名誉教授)
    • 開催報告
    • 第5回 2007年12月12日「文明と宗教」
    • ゲスト:保坂俊司氏(麗澤大学国際経済学部教授)
    • 開催報告
    • 第6回 2008年1月15日「文明と生命倫理」
    • ゲスト:島薗 進氏(東京大学文学部教授)(

開催報告

  • 第7回 2008年2月12日 「現代文明の“病理”と本質」
  • <財団10周年記念シンポジウムとして公開開催>
  • 開催報告
  • 第8回 2008年2月27日   これまでの議論のまとめ
  • 開催報告

政策プロデューサー

吉原祥子