障害者の高等教育政策

実施年度

2012~2013年

研究の目的

政権交代後、障害者基本法が改正されるなど、障害者を巡る政策・制度は転換期を迎えています。障害者と支援機関が調整・合意した上で、支援の実施を義務付ける「合理的配慮」の概念は従来の枠組みを大きく変える可能性を持っています。さらに、発達障害など「目に見えにくい障害」に対する理解も進み、障害の概念も変容しつつあります。しかし、障害者が自分らしい生き方を選び、社会参加機会を確保するまでには至っておらず、依然として障害者を「一方的に支援を受ける弱者」と位置付けて支援する考え方が世の中に根強く残っています。例えば、高等教育機関(大学、短期大学など)の総在籍者数に占める障害者の割合は僅か0.3%に過ぎません。

しかも、特別支援学校や特別支援教育支援員の枠組みが整備されている義務教育段階、法定雇用率などの支援策が展開されている雇用と比べると、障害者の高等教育政策は手薄な状況にあります。本プロジェクトは「障害者が高等教育機関に進学できないのは社会参加機会を失わせている原因であり、社会参加機会が失われている証左である」という認識の下、障害者の自立支援活動などを実施している日本財団と連携しつつ、高等教育だけでなく義務教育、雇用、福祉なども含めた幅広い観点で、障害者が高等教育進学を選択しやすい社会に向けて何が必要なのか整理し、政策提言を実施します。

研究の視点

障害者政策は暮らしを支える自立支援制度、教育の機会を提供する特別支援教育、雇用・就労機会を拡大する雇用政策、移動を保障するバリアフリー化に限らず、年金(障害年金)、税制(障害者控除)など様々な分野にまたがります。さらに、障害者の自立を支える上では、義務教育段階から高校、高校から大学、高校・大学から雇用への移行支援が課題となり、役所の縦割りにこだわらない視点や議論が求められます。本プロジェクトでは立法府や行政機関、大学だけでなく、有識者や障害者団体、福祉・就労支援施設、教育現場などとの意見交換も重ねつつ、高等教育機関への進学を支える必要な政策・制度を研究します。

 

研究会

第1回、2011年10月13日

  • 研究会の目的(石井靖乃、三原岳)
  • 高等教育における障害学生支援の現状(文部科学省高等教育企画課長、義本博司氏)

第2回、2011年11月8日

  • 障害者雇用の現状と課題(厚生労働省障害者雇用対策課長、山田雅彦氏)

第3回、2011年12月22日

  • 社会として障害学生の進学を支援する意義(立命館大学生存学研究センター所長、立岩真也氏)

第4回、2012年1月18日

  • 障害者が大学に進学する上でのバリアと支援策(株式会社ミライロ社長、垣内俊哉氏)

第5回、2012年4月9日

  • 意見交換

プロジェクトリーダー

三原 岳(研究員兼政策プロデューサー)

プロジェクトメンバー

  • 石井靖乃(日本財団国際協力グループ長兼公益ボランティア支援グループ長)
  • 青柳まゆみ(筑波大学人間総合科学研究科助教)
  • 金澤貴之(群馬大学教育学部准教授)
  • 近藤武夫(東京大学先端科学技術研究センター講師)
  • 白澤麻弓(筑波技術大学准教授)
  • 森 壮也(日本貿易振興機構アジア経済研究所 開発研究センター貧困削減・社会開発研究グループ長代理兼開発スクール教授)
  • 冨田清行(政策研究プロデューサー兼研究員)
  • 亀井善太郎(東京財団政策研究ディレクター兼研究員)