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『サウジアラビアへの批判報道の裏に核兵器』

November 13, 2013

佐々木 良昭 上席研究員


サウジアラビアに対する、批判報道が昨年あたりから増えてきている。それは、対象国に対する攻撃の、第一歩の場合が多いのではないか。

リビアのカダフィ大佐はアメリカに『狂犬』と呼ばれ、彼の統治は血にまみれた独裁だ、カダフィ大佐は諸外国で起こるテロの元凶だ、と報じられた時期がある。

イラクのフセイン大統領の場合も同様に、WMDの保持者、独裁者としばらく報じられた後で、アメリカの軍事攻撃を受け打倒された。

今回のサウジアラビアに対する批判報道の増加は、リビアやイラクと同じことの前兆なのであろうか。最近ではサウジアラビアとアメリカとの関係が、悪化しているとも報じられ、サウジアラビアはアメリカの意向に反した動きを示してもいる。

国連安保理の理事国就任拒否は、その典型であろう。イランやシリアに対するアメリカの対応変化に対する、不満も同様であろう。

サウジアラビア政府が実施している斬首刑は許せまい。外国から安価で雇い入れられた外国人たちが、サウジアラビア国内で不法行為をしたとして、斬首刑に処せられることは、非人道的な行為の典型であろう。

パキスタン人がサウジアラビアで、麻薬の取引に関係していたということで、斬首刑に処せられたし、その後ではサウジアラビア政府が強化した、外人労働者に対する処遇をめぐり、エチオピア人が警察に銃殺されている。

サウジアラビアではいま、16000人の外国人労働者が、非合法滞在者として逮捕され、刑務所に投獄されてもいる。

それ以外にも、サウジアラビアのバンダル情報長官が、アルカーイダや世界のテログループのボスだ、スポンサーだという報道が増えてきている。サウジアラビアがイスラム諸国に対して、テロを行っているという非難記事も登場している。 これらは、今後サウジアラビアに対する欧米の対応が、厳しくなっていくということの、前兆ではないのか。

サウジアアビアに対する、マスコミの非難が世界で増えているということの根拠はサウジアラビアの持つ、莫大な石油資源の略奪に、あるのではないかと思われるがそれだけではない。

つい最近の情報を見ると、マスコミのサウジアラビア非難の主因は、石油ではなく他にあることが分かる。サウジアラビアは世界にとって、なかでもイスラエルにとって、最も危険な国家になる可能性がある、ということのようだ。

サウジアラビアが何十年も前から、パキスタンの核開発に資金を提供してきていたことは、既に報じられて久しい。当時から、サウジアラビアはパキスタンに核兵器を開発させ、買い取るつもりだという懸念が高まっていた。

ここにきて、サウジアラビアはパキスタンが完成させた核兵器を、受け取る時期が来ているというのだ。しかも、サウジアラビアにはそのパキスタンが開発した、核兵器を運搬する手段であるミサイルを、所有しているというのだ。

このサウジアラビアのパキスタンからの、核兵器の受け取りについては、サウジアラビアがパキスタンに対して、引き渡しを要求するだろう、という憶測がなされている。つまり、サウジアラビアはこれまでの核兵器開発への、投資してきたことで、核兵器を受け取る権利があるというのだ。

イスラエルの情報機関筋の話によれば、サウジアラビアは核兵器入手に向け、既に全額を支払っているということのようだ。そして、サウジアラビアからはその受け取りのために、代表が間もなくパキスタンに向かうだろう、ということのようだ。

今回のサウジアラビアが依頼し、パキスタンが開発したといわれている、核兵器については、NATO が強い懸念を抱いているし、イギリスの情報部や軍部が特別の関心を、寄せているというとだ。

今回はこの話が、BBC(BBC Newsnight 11月6日)によって報じられ、各国の情報機関や軍部が、強い関心を寄せているのは、サウジアラビアの仮想敵国である、イランが近く核兵器を所有することになる、という前提に立っているのであろう。

そうなれば、これまで懸念されてきたように、中東地域では核の連鎖反応が、起こるということであり、それは核分裂同様に、危険な兆候であろう。イランが核兵器を所有するという前提で、サウジアラビアが核兵器を購入すれば、エジプトも同様に核兵器の所有に向けて、動き出すことになろう。

実はエジプトについては、ソビエトが放置していった核兵器がある、という話や、東欧圏の国から購入した、という話もあるのだ。あくまでも噂ではあるが、西側先進諸国ばかりではなく、中東の当事国としては、看過できない問題であろう。それは、述べるまでもなく、核兵器が極めて危険な、代物だからだ。

    • 元東京財団上席研究員
    • 佐々木 良昭
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