タイプ
政策提言・報告書
日付
2008/6/5

政策提言 「食分野の知的体系化構想 ―「食文化大学院」の必要性について―」

政策提言「食分野の知的体系化構想-食文化大学院の必要性について」

 

このたび、東京財団では2007年度に実施した「食の学問体系化」プロジェクトの成果として、「食分野の知的体系化構想-食文化大学院の必要性について」を発表しました。

本プロジェクトは、日本の「食と農」を担う人材の育成と日本の食文化研究を可能にする高等教育機関の必要性を示すとともに、その土台となる「食の知的体系」の構築の方策を提案するものです。

これまで食にまつわる様々な課題に取り組んできてたびたび実感するのは、「食と農」分野における人材不足でした。食生活の乱れ、食料自給率の問題、食の安全、日本の農業の将来、食と農を通した地域再生等、目前にある複合的課題に対処できる人材はなかなかいない、それでは日本の食はいっこうに良くならないという危機感を募らせるばかりでした。

現実には、わが国は世界に誇る優れた食文化の歴史を有しているにもかかわらず、食の網羅的な「知的体系」を有する高等教育・研究機関等の「知的インフラ」がありません。一方、食料自給や食の安全など、農業や食産業のあり方が懸案となっているなか、こういった複合的な課題を前にして、既存の農学部、栄養学部、食品衛生学、食料経済学といった縦割りの知的体系では十分に対処しきれなくなっています。

成果発表を前に、関西で四大学連携大学院構想が浮上してきました。大阪府立大学、大阪市立大学、同志社大学、関西学院大学が連携で食文化大学院を設立するという構想です。これが実現して、将来の日本の食と農を担う意思のある人材が全国から集まってくることになれば理想的です。

今回、われわれが提案する「知的体系」はまさにこうした動きに呼応するものです。分野横断的、文理融合的で食文化と食産業を二本柱とする網羅的なものとなっており、組織に合わせて柔軟に活用できるようにカリキュラムのフレームワークを提示してあります。本報告書が関係者に広く参照・活用され、日本の食文化の継承、「食と農」産業の発展に少しでも寄与できれば幸いです。

東京財団政策研究部 ディレクター・研究員
安井 美沙子