タイプ
その他
日付
2007/10/24

第1弾「とち餅」(5/5)


4.人物ファイル



溝口淳さん

 1971年、大阪府生れ。大学卒業後、農水省に五年、勤務したが、農村での地域づくりに現場で携りたいとの思いから、これをあっさり辞め、研修で一週間ほど訪れた福井県池田町の役場で採用試験を受け直す。一人息子が移住したことから、両親も池田町に移住し、過疎の進む農村に大いに貢献した。
 池田町は、昭和35年には7,654人だった人口が、現在は3405人に減少。しかし、合併せず、町民百人からなる「100人のパートナー会議」を中心に独自の町づくりを行ってきた。生ゴミや牛ふんを堆肥化し、これを『うららの米』(2,007年に命名)という有機米づくりに生かしたり、廃油のリサイクルを生ゴミ回収車や公用車に生かす菜の花プロジェクトなどの食Uターン事業。数年前から秋に行う子供たちを主体にしたエコ・キャンドルなどの試みによって、池田町の取り組みは、環境大臣賞や農林水産大臣賞を受賞した。これらの運動に、若い溝口さんは、役場職員として、また一町民として深く関わってきた。
分けても、溝口さんが、スタッフとして力を注いでいるのは、「日本農村力デザイン大学」で、これは、「人と社会を治癒する力」を農村力と呼び、これを体感して学び、地域や自らの暮らしに生かそうという場である。平成17年に開校され、NPO農村力デザイン研究所(理事は清水真盛)が運営している。授業は、3日の講義スケジュールで年に五回。結城登美雄氏の地元学、宇根豊氏の農学など最先端の「風の課」と、地元のおじちゃんやおばちゃんに聴く「土の課」があり、いずれも農村にある食や暮らし、農を素材とする点がユニーク。宿泊や夕食は、「ファームハウス・コムニタ」や近くの渓流温泉「冠荘」で行われ、食の楽しみは大きい。18年から町の進める「喪失危機文化発掘記録」事業にも協力し、柿渋や栃、山菜の採取や保存なども行っている。

■農村力デザイン活動については、 池田町振興開発課 tel.0778-44-8004
                       〒910-2512 福井県今立郡池田町稲荷35-4 
 

伊藤洋子さん

 東京都出身、月刊『宣伝会議』編集長などをへた後、出版社時代に培ったブレーンや執筆者たちとともに、1989年、企画・編集プロデュースを手がける系(株)を設立、代表取締役に就任。95~99年、『食教育通信』(後に『リ・クリ』日本教育新聞社)の編集長を『努め、食と農、地域への関心を募らせた。2000年より東海大学教授「雑誌メディア論・女性とメディア論」。
 90年より福井市池田町の人々と出会い、これを縁に同町に居を構え、“半町民”的に東京から通う日々。05年より、開設した『日本農村力デザイン大学』副学長として設立と運営に参画。さらに親しい人々の輪が広がる中、町の暮らしや歴史に興味を深め、昨年からは町内のお年寄りに聞き取りしながら『喪失危機文化資源の発掘と記録』調査を行い、若い世代への継承を検討している。
 著作に『21世紀のマスコミ 出版』『現代ジャーナリズムを学ぶ人のために』『キーワードで読み解く現代のジャーナリズム』(いずれも共著)など。
 昨年は、インドで開かれた「もうひとつの地球は可能だ」国際会議などにも出かけ、これを取材。地元にあるものが、そのまま貴重な日本が誇る宝物であるとし、特別栽培米作りや町内の直売所作りなど、環境の里としての様々な運動を展開してきた池田町を、その知恵袋となり、かげから支え続けている。その“池田別宅”の書庫も魅力的である。


5.どこで味わい、買うことができるか(地図参照



「とち餅」および栃を使った菓子は、現在、全国の以下のような生産・加工グループや和菓子店で購入することができます。
(生産・加工グループは、自分たちで栃の実の加工を行っているところを選定しましたが、すべての生産者が含まれているわけではありません。情報をお持ちの方は、ぜひ東京財団までお知らせください。)

■生産・加工グループ■
・福井県池田町 
ファームハウス・コムニタ 代表:沢崎美加子さん
宿泊と農業体験。秋から春、宿泊客に振舞われる。販売も。
Tel 0778-44-7744(水休) 

おもちの母屋(ままや) 代表:山口典子さんと山内明美さん
9~2月、とち餅や栃大福を食べて買える。
Tel 0778-44-8338(月休)

・鳥取県内谷
内谷とちの実加工内谷農協婦人部の4人、代表:村上さん
地元の注文に応じて作るほか、匹見温泉の朝市(土・日のみ)で販売。

・山形県鶴岡市(旧朝日村)
とちもち加工所(直売所)朝日地区には、栃の広大の原生林が残り、「山の口あけ」も決めている。
とち餅の他、『とちの実かりんと』『とちあられ』などもある。

・岐阜県白川郷
合掌造り民家園(財)Tel 05769-6-1231

・福島県
下郷町物産館 Tel 0241-67-4433

・京都府南丹市(旧美山町)
洞(ほら)しゃくなげグループ 代表:岡本光栄さん 
Tel&Fax 0771-76-0626(加工所) 
芝原綾子さん Tel 0771-76-0170 直売所などでも販売

・新潟県朝日村役場 物産(観光課 Tel 0254-72-1551)で栃大福など販売。
山熊田「山の口あけ」を決めている。「サンポク生業の里」で冬季のみ。

・長野県栄村 
もち加工グループ6人によるとち餅が、12月末~3月末、道の駅『信越さかえ』や『森宮野原駅交流館』などで買える。
切明温泉でも買える。Tel 025-767-2253

・滋賀県 高島市 久津木の道の駅『新本陣』にて、日曜の朝市で、地元加工
グループ(代表:川合さん)らのとち餅を販売。

・静岡県天竜市(旧水窪)
生活改善グループ(代表:石本さん)によるとち餅が
向市場にて買える。Tel 053-987-0411

・埼玉県
秩父農林振興センターTel 0494-25-1230


■栃の菓子で知られる和菓子屋など■ 
・兵庫県『高砂屋製菓』とち餅 Tel 0796-44-0859
・山形県 鶴岡市『山菜卸問屋 遠藤商店』 栃のシフォンケーキ(冬季のみ限定)、                                    
       アク抜きした栃の実を販売 Tel 0235-26-7333
・岐阜県 下呂市『養老軒』栃の実せんべい Tel 0576-25-2050
       下呂市『千寿堂』栃の実せんべい Tel 0576-25-4502  
・岐阜県 東濃 『美濃廣庵』栃せんべい
・滋賀県 高島市『内田製菓』栃飴、栃の実クッキー Tel O740-38-2043
・静岡県 天竜市『小松屋製菓』とち餅 Tel 053-987-0203
      天竜市『八幡屋』 Tel 053-987-0135
・岩手県 盛岡市『藤原養蜂所』栃のハチミツ

 

取材・文:島村菜津
撮影:菊地和男