タイプ
その他
日付
2007/11/14

第2弾「札幌八行」(硬粒種とうもろこし)(2/5)


 それだけ浸透しているにもかかわらず、なぜ八列とうもろこしを含む穀物用とうもろこしの生産が途絶えそうになっているのか。その理由としては、1.収穫適期がひじょうに短いこと、2.収穫後、どんどん品質が落ちてしまい、輸送に耐えられないこと、3.発芽が揃わないために一気に収穫できないこと、4.そのため、一つひとつの状態を見てから収穫しなければならないことなどにある。

 また、昭和に入ってからは甘みが強く、品質保持期限が長いスイートコーンに消費者の需要が多く集まるようになったことも理由としてあげられる。1.F1品種の導入により発芽が均一になったこと、2.収穫期が調整できること、3.収穫適期が長くなったこと、4.長距離輸送に耐えられるような品種が誕生し扱いやすくなったことにより、生産が急激に伸び、現在は生食用のほとんどを占めるようになった。

 食生活の変化や品種の移り変わりもさることながら、北海道には全国に販路を持つ専業農家が多く、大規模化、効率化を優先すると、八列とうもろこしの生産は魅力に欠けるのである。

 しかし、現在の世界の食糧事情を考えると、穀物用とうもろこしの栽培を真剣に考えるべきだと言えるだろう。和牛生産、酪農業、養豚・養鶏業などで使われてきた飼料をはじめ、食品原料、酒造原料などほぼ100%輸入に頼っているだけに、輸入が途絶えると、その影響力は計り知れない。現にここ1~2年で輸入の穀物用とうもろこしは高騰し続け、今後も価格が下がる見込みはない(農林水産省データより)。実は穀物用とうもろこしは、スイートコーンよりも病気に強く、倒伏もしにくく、様々な環境に幅広く適応する性質を持っている。畜産現場で生産されているデントコーンなどは、青い状態で収穫し、実も茎も葉もすべてを餌として使用するため、輸入している完熟した実のみの穀物用とうもろこしとは栄養価的にも比較できるものではないが、穀物が含まれる自給飼料としては全国の現場で生産が高まっている。

 自給率を、地力を、食の楽しみを高めるためにも、穀物用とうもろこしの自国栽培を真剣に考える時期に来ているように思う。そして、食の安全面に不安の残る遺伝子組み換えとうもろこしを栽培することよりも、まず、今まで北海道民の命を支えてくれた八列とうもろこしの栽培をもう一度見直すときなのだと思う。



参考文献

 「トウモロコシ 歴史・文化、特性・栽培、加工・利用」 戸澤英男 農山漁村文化協会 2005年3月
 「北海道農事試験場試験成績概要」 北海道農業試験場 昭和11年
 「主要農作物優良品種の解説s」 北海道立農業試験場 昭和27年11月
 「農産物品種物語『実りへの道』」 酒井勉 日本農業新聞北海道支所 平成元年12月
 「スローフードな人生! 島村菜津 新潮社
 「世界の食文化 イタリア」 池上俊一 農山漁村文化協会 2003年10月
 「聞き書 北海道の食事」 農山漁村文化協会 昭和61年4月

データ

・IIIとうもろこし(2007年10月:農林水産省HP)
 http://www.maff.go.jp/j/zyukyu/jki/j_kyokyu/pdf/corn_0710.pdf

※我が国の主要輸入先国の需給見込み、2007/08の世界の需給予測など


・国際食料需給の動向と輸入麦の売渡価格の改定について(平成19年10月農林水産省HP)
 http://www.maff.go.jp/j/soushoku/boueki/mugi_zyukyuu/pdf/kokusaijikyuu.pdf


・今、世界の食料に何が起きているのか(平成19年10月:農林水産省HP)
 http://www.maff.go.jp/j/study/syoku_mirai/02/pdf/data.pdf


・平成18年度食料需給表について(平成19年8月:農林水産省HP)
 http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/kikaku/bukai/01/pdf/data05_2.pdf


・世界の食料事情と日本の食料自給率(平成19年4月:農林水産省HP)
 http://www.maff.go.jp/saiyou/1_gijutsu/data/s-4.pdf