タイプ
その他
日付
2008/1/22

第7弾「アサクサノリ」(5/5)


4.どこで味わい、買うことができるのか


●出水浅草海苔グループ
代表者 古賀重美
 〒899-0136 鹿児島県出水市汐見町991
 電話 0996-67-0242
 ファックス 0996-67-0736
グループ生産者名
 古賀喜久雄 古賀久男 長野一紀 時吉幸治 時吉富士男 山口広行 山口広志

●(株)ヤマムロ
代表取締役 山室正則
〒090-0056 北海道北見市卸町3-6-2
電話 0157-36-5331
ファックス 0157-36-2406

5.人物ファイル


アサクサノリを守る古賀重美さん




鹿児島県出水市。天然記念物である鶴の飛来地で知られる出水。古賀重美さん(58歳)は幻の海苔といわれる「出水アサクサノリ野口種」をつくり続けている。海苔づくり2代目。高校一年のとき、事故で急逝した父親の後を継いだ。海苔養殖が多収穫に向かってひた走ったまさにその時代から手摘み、手すき、天日干しと美味しい海苔づくりにこだわってきた。海苔養殖の常識となった酸処理は一度も行わない。「海苔は海と太陽、そして愛情で育てる」が持論。不自然なもの、海を汚すものは使わない。
「出水アサクサ野口種」は出水地方の地ダネ、いわば在来種である。かつては出水地方海苔養殖の主流だった。味わい、香りもいいと九州では評判の品種であったが、統一ブランドを育成するという組合主導の下、スサビノリが導入されて、野口種はつくられなくなってしまった。野口種の美味しさを知りつくしている古賀さんはひそかに種を試験場に持ち込み、保管培養を続けてきた。結局、統一ブランドづくりはうまく育たなかった。古賀さんは仲間に呼びかけて野口種の復活にかけた。20年前は出水の海苔生産者は80名いたが、機械化に対応できない、収入が少なく嫁も来ないなどと、生産者は減る一方、今では古賀さんと共に野口種をつくり続ける仲間は7人になってしまった。
 古賀さんがこだわる、自然にゆだねた海苔づくりにはもうひとつ理由がある。海苔養殖場がある福ノ江浜を守りたいからだ。出水市はその名の如く「いい水の湧くところ」。背後には柴尾山、矢筈岳という名山が控える。山の広葉樹がプランクトンの豊富な栄養たっぷりの水を運ぶ。その野口川がたどり着く浜が福ノ江浜だ。海苔ヒビが撤去される3月末から秋まで、この浜は豊かな天然の漁場となる。あさり、はまぐり、きす、トビウオ、とり貝、太刀魚、アジ、車えびと文字通り宝の海なのだ。
 今シーズンは秋から降雨が少なく、海水の温度もなかなか下らなかった。タネ付けの時期を遅らせざるを得なかったほどで、福ノ江浜の沖合いの魚介類もかなり被害を受けた。が、冷たい川水が注ぎ入る河口は影響が少なかった。豊かな海は豊かな森が育てるという証であろう。




取材・文:塩川恭子
撮影:菊地和男