タイプ
その他
日付
2008/7/29

第20弾「国産小麦」(5/5)


6.人物ファイル



吉原良一さん

 
1902年、創業の「吉原食糧」は、讃岐地方でももっとも古い老舗の製粉会社。専務をつとめる吉原さんは現在51歳。29歳で故郷に戻るまで、コンピューターのシステム・エンジニアをしていた。故郷に帰郷し、地粉が消えていくことに違和感を覚え、小豆島で「チクゴイズミ」の栽培を委託するなど、国産小麦の復活を模索し始める。

2008年には、「さぬきの夢2000」の他にも、これにオーストリア産をブレンドした「讃岐プレミアム」を作り、双方のよさをそなえた新しいうどん粉を発表。この粉を使い、地元のいちご農家「スカイファーム」は、市内でいちごクレープを販売。また、またパスタ専門店「アルボーレ」もこれを使用。また、「さぬきの夢2000」とオーストラリア産のハイブリッド小麦粉「白鳳・夢2000」もうどん店に人気がある。また、昔のように石臼で挽いた小麦を考案。鉄分やりんなどのミネラル、繊維質の豊富な香ばしい小麦をつかって、ハーブをきかせたスペイン菓子の「ポルポローネ」などを作った。国産小麦だけを使ったホットケーキ・ミックスやお好み焼きミックスなどもある。

「噛まなくなった世代が、硬いだけのうどんをコシだと勘違いしていたが、近頃、柔らかめのもちもち感のあるうどんに消費者の好みにも変わりつつあるという。
輸入小麦が大量に入るようになって、国内の製粉業は4~5社の大手に集約され、地方の中小製粉所が潰れていった。「本来、各地にたくさんの製粉所が残って、百花繚乱の食文化が残ることこそ、スローフードな世界でしょう」そのために製粉所は、その内容をどんどん開示し、グローバルな自由主義経済の中で生き残る多様な道を模索すべきだという。

その国産小麦への取り組みは、NHK「プロジェクト?」でも紹介された。「だって、2,000キロの太平洋のかなたから命の糧を運ぶのは、あまりにあやういでしょう。一週間なかったら死ぬかもしれない主食です。テロなどの事故、安全性の問題を考えても、やっぱりおかしい。日本は、この40年ほど、食の現場からあまりにも離れすぎたんですよ。作付けが増えたと言っても、まだ、香川県の小麦の自給率は約6パーセントしかない。いい加減に、現実を知ることから考え直す時が来ていますよ。」

アロマの『ポルポローネ』レモングラス、ジンジャー、ミント、カモミールなどハーブが決め手。

問い合わせ先
吉原食糧株式会社 吉原フードアクティブ
HARINA FABRICA 
坂出市林田町4285-152 TEL 0877-47-2030 FAX 0877-47-1910




津國浩さん、津國祐香理さん


高松市内の商店街で、無農薬、または減農薬の安全な地元野菜を売る店「亀井戸水神市場」を経営している。ご主人の浩さんは、広島で生まれで、高校から高松に移住。13年間、オーストラリアの小麦を輸入する商社で働いた。

しかし、仕事で、香川県内のコンビニ用の弁当などを作る工場を回ると、方々で「おいしいけれど栄養はない」、「30度以上で48時間、放置しても腐らないものなんて、自分の子には絶対に食べさせたくない」という声を耳にした。そこで、思い切って脱サラし、子供たちにも安心して食べさせられるものを売ろうと、安全な八百屋を始めた。祐香理さんは、慣れない店頭に立ち、浩さんを明るく励まし続けた。

最初は赤字だったが、次第に固定客が増え、2006年から2年、八百屋を続けたところ、市場の振興組合の会長に、シャッター通り化に歯止めをかけたいと、元銀行の現在の広い店舗を使ってくれと頼まれる。店には独自の基準があり、無農薬、無化学肥料、3年以上ふたつを使って無い野菜には、無が3つ、減農薬に減化学肥料には、減が2つといった表示をし、そのことで、地元のいい生産者を応援したいという。

店には、毎朝、農家から新鮮な野菜や花が届く。加工品も添加物の入らない本物志向。また、小豆島のしょうゆや「さぬきの夢2000」を使ったうどん、ホットケーキ・ミックスやお好み焼きミックス、さらに「吉原食糧」の「ポルポローネ」と間違いなくおいしい土産も買うことができる。

また、店の入口には、高松市飯田町のイチゴ農園「スカイファーム」の経営するおいしい苺クレープ屋があり、吉原食糧との提携から生まれた国産ブレンド小麦のおいしいイチゴクレープを味わえる。

ホーコク製粉 香川県観音寺市粟井町2227 TEL 0875-27-6565 FAX 0875-27-8885


 


(左:津國夫婦 市場の店にて。ホーコク 夫婦に頼まれた通りに、作ってくれた自信作。この店で、吉原食糧の「ポルポローネ」も買える。 右:店の入り口には、いちご農家「スカイファーム」の直売所があり、地元の小麦粉を使ったおいしいクレープが味わえる。)


 
取材・文:島村菜津
撮影:藤澤靖子