タイプ
その他
日付
2008/9/10

第22弾「昆布」(2/5)


2.どのように作られているのか


養殖昆布の場合
 南かやべの川汲は、全国に先駆けて昆布の養殖が始まった地域。養殖は、収穫までに2年を要する天然ものに比べ、1年で収穫できるので、促成昆布とも呼ばれる。昭和41年(1966年)、北海道開発局の「促成コンブ試験調査事業」の対象として、長谷川博士の呼びかけに答え、手をあげたのは川汲浜の吉村捨良さんら青年部の5人ほどだった。
昭和45年(1975年)、ようやく6トンが採れたが、今では南かやべ漁協だけで3,300トン。この漁師町を力強く支えるまでになった。

(1)12月にかけて、センターから種を採り、50日、培養してから海に放す。
3~4日して、これがロープにつけば成功。
注:大川さんのように自種の場合には、8月下旬、海から採種を始めて培養してやる。
(2)12月中旬、間引きする。
(3)1月中旬、移植、根しばりを終える。
(ロープについた、まだ小さな昆布。実際には養分を吸収する根ではないので、根といわず付着部と呼ぶ。)
(4)翌年の4月中旬1回目の水位調整。ペットボトル(浮き玉)で浮かせて、深度を調節
する。成長に合わせてロープを下げつつ、少しでも日光に近づけ、成長を促す。5月と
6月にも水位調節。まだ若い頃は、緑が濃い。
(5)7月下旬~、実が入り、赤っぽくなる頃、ようやく採取。(ほぼ1年で成長)




(左:つややかな青い昆布)




(この時期、夜中2時頃、採取。朝方、2度目の収穫。)





 また、6月頃は、流れてくる柔らかな天然昆布を浜で集める「拾い昆布」の時期。この春先だけ、地元では、やわらかな瑞々しい触感の春わかめを味わえる。平成18年(2006年)から、ガゴメといい、表面に龍文があり、ねばりが多いが、フコイダンなどが豊富な昆布の養殖に乗り出した。



(左:乾燥昆布を切りそろえる作業。右:表面に龍文のあるガゴメ昆布 天然ものは資源が極端に減っているという。)



天然昆布の場合
 天然ものは乱獲を避けるために、地域によって異なる厳格な漁業制限がある。南かやべ漁協でも7月末から10月まで、平均4~5日、最多の年でも25日に限られる。海が時化れば早朝、浜に赤旗が上がりこの日は中止。これを「沖あげ」と呼ぶが、何日でも沖あげが続く年もある。いざ、解禁となれば、半日ほどの限られた時間、漁師たちは人が変ったように競って昆布を採る。地元では、ホコと呼ばれる長い棹で、根(付着部)を巻き上げて抜き、船に挙げる。船がしずまんばかりに積むと浜に戻り、浜では女たちが待ち構え、すぐに、これを天日干しする。

(1)8月、種が発芽し、浮遊する。
(2)11月頃から、海の岩場につく。
(3)1メートルほどに成長し、目につくようになる。
(4)6月、実が入り、一度、枯れて30センチくらいになる。
(5)10月中旬、成長がまた始まる。
(6)7月頃、ようやく採取できる大きさに成長する。
2年かけて育ち、真昆布の場合、寿命は3年。




(左:先が二股になったホコ。自前で作る漁師もいる。右:乾燥した完成品の比較。緑が濃いのが養殖もの。やや大きめ。茶色がかっているのが天然もの。天然ものは倍の値がつく。)




(左:天然を採取している。右:浜に干している女たち)



とろろ昆布と昆布問屋の技
 『道南伝統加工協同組合』では、尾札部の漁師たちと手を組み、さまざまな昆布製品の加工をしているが、なかでも、甘味料も保存料も加えない、とろろ昆布は人気。
 とろろ昆布は、1日、酢につけて1週間ほど寝かし、芯まで軟らかくなったら、今度は1週間かけて乾燥させる。次に耳だちといってひれを切り、一定の幅にする。表面の薄皮を切り、霧吹きで酢をかけ、さらに1週間ねかせてカット。機械化は、大正時代から進んでいるが、100キロで約100枚の歯を消耗。歯を研ぐのがひと手間だという。また、昆布問屋では、3年でも寝かせ、酢をかけ、夏には天日干し、深い風味を引き出すという技がある。それら昆布問屋は、かつて天下の台所と呼ばれた大阪に多い。
 また、とろろ昆布に関しては、加工職人の多い福井県が強いという。昆布は、かつて北前船で、敦賀湾から琵琶湖を通り、大阪へ運ばれた。また、昆布がまったく採れない沖縄で大量に消費されるようになったのも、北前船の影響である。




(とろろ昆布の加工の様子)