タイプ
その他
日付
2008/9/17

第23弾「鰹節」(5/5)


6.人物ファイル



尾辻 求さん

 昭和11年生まれ。山辻商店 尾辻求かつお節店主人。十代で鰹節造りの修行に入り、昭和43年独立。本枯れ節の製造で農林水産大臣賞受賞、産地入札で最高値獲得など、枕崎を代表する鰹節職人。

 「私が最初に鰹節を造り始めた昭和40年代には、枕崎には大小130軒くらいの鰹節屋があったのですが、今では半数くらいになってしまいましたね。うちも最初は、地元でポツポツ売れるだけの商売でした。そのうちに行商のおばちゃんたちが買いに来てくれたりして、だんだん口コミで売れるようになって。現在は、家で直売するのが3割ほど、あとの7割は遠隔地からのお客さん達です。よし、本当に良いものを作ろうという気持ちになっていったのは、現地入札へ本枯れ節を出品するようになってからですね。良いものを造れば、ちゃんと評価して貰えるということが刺激になって、やる気も湧きました。」

 近海の一本釣りの鰹の使用にこだわるのは、「良い鰹節造りは、なんといっても、良い原料から」との信念から。漁師との長年の信頼関係により、高品質の原料確保にも力を注いでいる。包丁一本で鰹のすべてをさばき、美しいフォルムに仕上げる「薩摩型」の鰹節を作る数少ない技術者の一人でもある。「薩摩型は、鰹をおろす時は改良型の3倍くらいの時間がかかって大変なんだけど、仕上がってみると、形は本当にきれいだと思いますね。」

 昭和43年生まれの息子さんが後継者。現在は、連日、大まな板の前で対面しつつ、共に鰹をさばく日々。店の継承のみならず、「薩摩型」の技術を持つ職人が一人増えたことは大変に喜ばしい。


西村 協さん

 昭和28年生まれ。 鰹節製造業者60社が加入する枕崎水産加工業共同組合の組合長 。「鰹節製法伝来三百年」の産地である枕崎で、地域ブランドしての鰹節の普及に奔走する。
 「世界的な魚食ブームによる魚不足や石油高による漁業不振が話題になる中で、ありがたいことに枕崎の鰹節の生産量は微増を続けている状態です。たしかに燃料費の高騰は漁業全体に影響が出ていると思いますが、その中で鰹だけは、きちんと利益を出せているんですよ。鰹漁は、漁の仕方としても着実ですし、特に鰹節原料となる鰹漁の海外まき網漁業は安定しており、消費量も増えていますから。」

 自身も鰹節の製造に従事し、生家である鰹節製造業を次いで37年目。鰹節に関しては「形がおいしさを表現していると思います。美味しいものは、形もきれい。美味しそうだとわかる形をしています」という審美眼を持つ。



特定非営利活動法人「手火山」(NPO TEBIYAMA) 理事長 川口博康さん

 四百年の歴史を持つ、伝統的鰹節製造方法である「手火山式」を継承、次世代へと繋ぐためにNPO法人を設立。鰹節が調味料としてだけでなく、健康維持にも良いことを広く情報発信し、町おこしや地域の活性化にも寄与、同時にブルーツーリズムも支援している。
 「日本食が国際的に広まる中で、鰹節を国際的な商品としてPRし、さらには海外の鰹節生産地と交流し、技術指導等を通じて国際協力に貢献したい 。」
http://www.npo-tebiyama.org/index.htm


取材・文: 藤田千恵子
撮影:菊地和男