タイプ
その他
日付
2008/10/8

第24弾「アワビ」(3/5)


3.どんな場所で作られているのか


 


三重県の志摩国は、古代から「御食つ国、みけつくに」と呼ばれ、天皇や伊勢神宮の食膳の料を奉る、豊富な魚介類や農作物に恵まれた地域とされてきた。その地形は、複雑に入り組んだリアス式海岸で、岩礁が多く、水深が浅いことから、海底にも日光がよく届き、アワビのエサになるアラメやカジメなども藻がよく育っている。

しかも、伊勢志摩国立公園となっている緑の山々から流れたミネラルなど養分の多い伊勢湾の水と、温暖な黒潮がバランスよく混ざり合い、アワビの生育に継ごうのよい磯を作っているという。

また、20年ごとに遷宮する伊勢神宮を控えたこの地域では、今も神々に毎年、供えるアワビが必要であることから、この自然環境が守られてもきたし、また、それだけの条件を備えた土地柄だったからこそ、ここに神宮が造られたとも言える。

鳥羽を抜けると、密集した住宅街の風景が、とたんに緑に変わり、えらく山の中を走っているような気になったとたん、目の前に美しい、真珠やカキ養殖の筏が並ぶ小さな入江が開ける。

また、鳥羽・志摩地域には、伊勢神宮とのつながりから海女も多く、季節ごとに豊かな海の幸が味わえることから、温泉はほとんどないにも関わらず、浦々ごとに点在する集落には、たくさんの民宿があり、おいしい魚介を目当てに季節ごとに常連客が通ってくる。こと国崎は、戦前まで神領民として大事にされてきた地域で、ここには、今も「神宮御料鮑調整所」があり、7月には、地元の長老たちが慣れた手つきで熨斗鮑を作る儀式を目にすることができる。熨斗鮑は、専用の熨斗刀で、かぶら剥きのようにくるくると細長く切り、これを天日干して作る。

また、この町の「海士潜女神社、あまかつぎめじんじゃ」には、2000年ほど前、倭姫命が、オベンという名の海女から差し出されたアワビのおいしさに目覚めたという伝説が残っている。

さらに2003年には、132年ぶりに七つの村の海女たちが、ホラ貝の合図とともに、昔ながらの白木綿の磯着と木の磯桶で、いっせいに海に出るという壮大な「しろんご祭り」が復活されたのもまた、この国崎の浜だった。

 
 




4.地図情報