第10回研究会議事録

税と社会保障の一体化の研究―給付つき税額控除―
第10回研究会議事録
2008年7月7日開催
東京財団3階B会議室


今回の研究会においては,研究会の成果として本年9月に出版を予定する『給付つき税額控除の研究』(中央経済社)の内容について議論したうえで,同書の一部を執筆する金子洋一から,前回に引き続きカナダのGST・HST クレジットの概要に関する報告とその検討が行われた。

質疑

・カナダで導入されているGSTクレジットの制度が万能というわけではない,その問題点としてどのようなものが考えられるか
→所得再分配に与える影響はそれほど大きいわけではない,非勤労世帯を含めると逆進性が大きく見えるが,勤労世帯だけ見ると逆進性はそれほど大きな問題ではない?
→カナダでは,GSTクレジット以外に軽減税率も導入されているが,軽減税率を導入することは執行コスト以外にも,軽減税率の対象が際限なく拡大するような問題もある
→OECDのピアレビューでも,カナダの軽減税率を問題視されており,イギリスでも軽減税率をやめて税額控除へと向かう流れがみられる
→イギリスにも既に税額控除のシステムがあるため,乗り換えるのは比較的容易であると考えられる

・GSTクレジットの給付を行う単位はどのように定められているのか
→子どもの分は大人につく,家族の中で一番収入が多い人間が書類を提出(家族単位)
→所得の配偶者との合算については,GSTクレジットではFamily net incomeが控除される税額の計算に用いられる
→所得税は個人課税だが,配偶者も税務申告を出し,家族単位のGSTクレジットにおいては配偶者の申告とマッチングされる
→マッチングの方式はよくわからない,しかし納税者番号を書かないと還付が遅れる

・日本で導入に関する試算を行う場合,課税最低限以下の人をどう把握するのか
→いまのところ国民生活基礎調査等で推計するしかないのではないか
→課税最低限以下の人についてどのように把握するか

・それでは,公開されているデータで給付つき税額控除の計算はできないか?
→世帯構成がわからないと難しいのではないか,例えば年収が低い人たちでも,若くて年収が低いのか,リタイアしかけているからなのか不明
→勤労世帯だけに限ったデータを見ると,低所得層が捕捉できない
→カナダのGSTクレジットの場合,カナダGSTの収入の15%程度ということを考えて,日本における税額控除の規模について検討することはできないか