タイプ
論考
日付
2018/4/2

本プロジェクトの目的

 

 

本プロジェクトは、2018年11月の中間選挙、2020年11月の大統領選挙という重大な政治局面を迎えるアメリカ合衆国の政策動向を多角的に分析し、日米経済関係をはじめとする今後の日本の対外政策への含意について政策関係者はじめ広く社会へ発信することを目的とする。

 

2016年の大統領選挙はアメリカの今後を考えるうえでいろいろな意味で示唆的であった。孤立主義かつ保護貿易主義的公約を正面に掲げたトランプが共和党の大統領候補指名争いで勝利したのみならず、民主党でもクリントン、サンダース両主要候補はともにTPP反対という点で保護貿易主義的であった。サンダースの外交はやはり孤立主義的傾向をもった。1945年以降、共和党が孤立主義的候補を指名したのは16年が初めてのことであった。民主・共和二大政党の候補がともに保護貿易主義的であるのも、戦後において今回が初めてであった。これは16年のみのことであろうか、それともアメリカ政治の根本的な変化の予兆であろうか。

 

いくつかの数字は、長期的変化である可能性を示唆している。ピューリサーチによると「アメリカは国際社会に関わらず国内のことに専念すべき」という意見に賛成する者は、1960年代には僅か20%であったが、冷戦終結後それは40%に達し、2014年にはついに50%を越えた。共和党支持者はかつて民主党支持者同様に、あるいはそれ以上に自由貿易支持であったが、茶会党が台頭した2010年頃から保護貿易主義的になり、現在ますますその傾向が強まっている。とくに、戦後一貫して国際主義的な外交・安全保障政策と自由貿易主義を支持していた共和党の今後が懸念されるところであるが、トランプがそれらとは異なる公約で指名を勝ち取ったという事実そのものが重要であろう。いわば指名獲得への「異なる経路」(Alternative Path)が存在することをトランプは実証した。あとに続く者がいないと断定できるであろうか。

 

もしこのような懸念に少しでも妥当性があるとすれば、経済関係をはじめとする日米関係は今後どのように変化するであろうか。アメリカの外交安全保障政策が国際主義的であり、その通商政策が自由貿易主義的であることをかなりの程度前提としていた日本の外交・安全保障、そして通商政策は、今後どのようなものであるべきであろうか。

 

本プロジェクトでは、こうした問題意識のもと、大統領選挙に向けた民主党・共和党の動きをはじめ、シンクタンク、メディア、さらにはグラスルーツレベルの議論などからアメリカの変化を丹念に分析し、日米経済関係をはじめとする日本の対外政策のあり方について示唆を導き出す。(2018年4月)