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レポート
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第2回東京財団フォーラム「会社の本質と資本主義の変質~会社にかかわる制度をどう設計すべきか~」

日時
2007/5/28  18:30~20:30 [終了しました]
場所
日本財団ビル2階・大会議室
担当
研究部:佐藤孝弘 プログラム・オフィサー
去る5月28日、第2回東京財団フォーラム「会社の本質と資本主義の変質~会社にかかわる制度をどう設計すべきか~」を開催いたしました。

本フォーラムでは、「会社とは何か」「会社は誰のものか」という問いかけからスタートし、会社の本質をどう捉えるか、また、それに基づく経済の制度設計のあるべき姿はいかなるものか、という討論が行われました。
近年の行き過ぎた株主主権論の誤りと、今後の方向性について活発な議論が行われました。

まず、岩井克人主任研究員による講演がありました。アメリカの経営者の報酬の高額化の事例を取り上げ、アメリカでは株主の利益を増やすという名目のもと、経営者の報酬だけが上昇しているという事実の指摘がありました。
また、「会社=株主のもの」という株主偏重の会社観は、個人商店のオーナーと法人組織である株式会社の株主を混同した、間違った見方であること、法人とは、「株主―会社―会社財産」という二階建ての構造で理解するのが必要であること、それを踏まえて多様な法人のあり方が許されるような制度設計をしていかなければならないという議論がありました。

次に原丈人氏による講演がありました。原氏は、ストックオプション目当ての経営者が短期的な株価の上昇のみを目指して経営を行い、長期的な視点を無視したリストラを行っているなどの問題点を指摘しました。
また、株主主権論の浸透の結果、アメリカにおいて中長期の研究開発投資へのインセンティブ大いに低下していることを指摘しました。内部留保で開発資金を貯めようとしても、それではROEが下がってしまうため、配当として吐き出させる圧力株主から加わることなど、自らのご経験を踏まえ、具体的に語っていただきました。

続いての討論では、東京財団会長の加藤秀樹の進行のもと、主に「会社の価値とは何か」「会社をどのように評価すべきか」という観点からの議論が行われました。

岩井主任研究員からは、また、法人という特別扱いを認める以上、は社会的にプラスの価値を生み出すことが法人の存在意義であり、それに賛同する人が証券市場を通じて資金を提供するというのが本来の姿であるという議論がありました。
また、例えばグーグルが、株主を、短期的投資の株主と長期的投資の株主に分けて株式を発行しているなど、投資の時間的視野に応じた制度設計があるという議論がありました。また、現在の会計基準では現れない“人的資産”を会計に反映させる可能性についての指摘などがありました。

原丈人氏からは、現在の時価会計、減損会計を全面的に導入した会計基準は、ヘッジファンドなどの専ら短期的な利益を求める投機家のためだけの制度になっている。長期的視野の経営を可能とするような、時価会計の見直しも検討すべきである等のご意見がありました。

最後に、会場に来られた皆様との質疑応答も活発に行われ、盛会のうちにフォーラムは終了いたしました。140名もの方が、最後まで真剣にご参加いただきました。
東京財団では、本フォーラムでの議論を活かし、今後もこのテーマを深化、発展させていく予定です。