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「市民と議員の条例づくり交流会議 in 九州」報告レポート

June 1, 2010

地方議会改革についての九州での関心

2010年5月29日福岡市で開催された「市民と議員の条例づくり交流会議in九州」(運営委員代表:廣瀬克哉:法政大学教授)に参加しました。九州を中心に約300名の地方議会議員や関係者、一般市民が参加されていました。

概要

実践報告として、大分市議会議長仲道俊寿氏から「中核市における市民と議会の双方向性の確立~政策立案に市民意見を反映~」と題した講演がありました。北海道栗山町を筆頭に議会改革の先進的な自治体の特色として人口規模が注目されます。人口が少ないから議会改革が進む。議員の数が少ないから議会報告会が開催できるといった指摘が度々されます。しかし、人口47万人の大分市でも議会報告会は開催されています。そのためには、ちょっとした仕掛けは必要であったようですが、議会改革の様々な取り組みは、人口の規模に関わらず実施され成功を収めている事例として明白です。

また、熊本県御船町議会議長の田中隆敏氏からは、「議会活性化と議会基本条例~町民とともに歩む議会、行動する議会、開かれた議会を目指して~」と題した講演がありました。視察報告を町民にすることを提案したことが、議会改革のきっかけとなったとの説明がありました。非公開の全員協議会で3回に及ぶ否決を受けてもあきらめずに町民に議会活動として視察の報告をすることの重要性を説いて、最終的には実施されたことを詳細に説明されていました。

第一分科会の基調報告として、木下敏之東京財団上席研究員が「地方議会の改革~議員活動の実態調査分析報告~」と題して、「地方議会議員の活動調査」の分析結果を発表しました。その後のパネルディスカッションでは、熊本県合志市議会議員の来海恵子さんからもご自身の活動時間の分析報告がありました。この異なる二つの調査結果で、それぞれが最も公的と位置づけた「公式活動」(東京財団調査)と「議会活動」(来海調査)の時間の平均は1.2時間と1.4時間と酷似していました。また、最も私的な活動と位置づけている「非公式」(東京財団調査)と「ボランティア活動」(来海調査)でも、それぞれ2.3時間と2.5時間と類似した結果となっていました。大変興味深い結果と受け止めました。

もうひとりのパネリストの福岡県田川市議会議員佐々木允氏からは、市民相談(住民相談)は、街灯の設置を求めるものや行政職員の対応の悪さ、就職のあっ旋、隣地境界でのいざこざの処理など多岐におよぶことを赤裸々に報告されていました。ただ、中には具体的な政策議論につながった例もあり、政策形成に関与できる議員としては市民の声をつかまえるアンテナを立てることは重要であるとの指摘がありました。これからは議員個人と市民との関係を構築する市民相談ではなく、「チーム議会」として市民として対話することが求められると主張されていました。

<文責:赤川貴大>

    • 元東京財団研究員・政策プロデューサー
    • 赤川 貴大
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