東京財団政策研究所 Review No.6

公益財団法人東京財団政策研究所のリーフレットです。非営利・独立の民間シンクタンクとして、外交・安全保障、経済・社会保障、環境・社会分野の政策提言・普及活動と、国内外で実施する各種人材育成プログラムを行っています。


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04をもたらし、技術革新、経済成長、そして雇用創出に貢献するとしており、長期的に考えると持続可能性と競争力強化の面で、以下の効果があるとしている(EC、Webサイト)。・資源の保護・欧州の産業のコスト削減・新しいビジネスチャンスの開拓・革新的で資源効率の良い欧州の新世代ビジネスの構築(世界中でクリーンな製品やサービスを製造、輸出する)・社会的統合と結束の機会創出EUにおけるCE構築の取り組みは、2010年3月に公表された欧州成長戦略(Europe2020)における「資源効率性(ResourceE(cid:31)ciency:RE)」からはじまっている。Europe2020は、2020年までのEU経済の競争力強化・雇用戦略であり、REとは資源効率が高く持続可能な循環型社会の構築を目指すEUの包括的環境基本政策といえる。REの議論は、2010年7月に開催された非公式環境閣僚理事会以後から活発化し、2011年9月には、RE政策の重要な文書「資源効率的な欧州に向けたロードマップ(Roadmaptoaresource-e(cid:31)cientEurope)」(以下、ロードマップ)が公表されている(EC、2011)。ロードマップでは、地球上の資源が“有限”であるという条件で人類が発展していくためには、経済活動と環境影響の分離が必要であるという概念の下で、2050年のビジョンが示されている。そこでは、EUの経済は資源の制約に配慮しながら成長することで世界経済の変革に貢献する、そして、経済競争力がありながら非常に低い環境負荷で高い生活水準を提供することなどが記されている。また、ビジョンを実現するためのマイルストーンとして、すべての企業およびその投資家は企業のライフサイクルにおける資源の効率化を測定してベンチマークに従って評価を行うこと、廃棄物は資源として管理され、その発生量は絶対的に減少するとともに、リサイクルが経済性のある選択肢となっていることなど、2020年を目途とした目標と、そのためにEUが取り組むべき具体的事項が示されている。そして2015年12月には、ロードマップを達成するための行動計画となる政策文書「サーキュラーエコノミーパッケージ(Closingtheloop-AnEUactionplanfortheCircularEconomy)」(以下、CEP)が発表された(EU、2015)。CEPは、CEの構築に向けた行動計画とそのために必要となる廃棄物法制の改正指令案で構成され、こうした備蓄による対処については、2018年8月、経済産業省の自動車新時代戦略会議から公表された中間報告書(経済産業省、2018)においても、鉱物資源リスクに対処するために、コバルト等を備蓄する方針が示されている。しかし、エネルギー転換による鉱物資源リスクは多鉱種にわたり、またその量もジスプロシウムやコバルトのように膨大となることから、備蓄だけでは対処できなくなることも予測される。資源循環型の経済を意味する欧州におけるCE構築の推進前述したように欧州では、鉱物資源リスクへの対処も含めた資源循環政策としてCEの構築が進められている。現状CEには、国際的に定まった定義はないが、EUでは、資源の採鉱→生産→消費→廃棄という現在の線型経済(Lineareconomy)ではなく、資源の採鉱→生産→消費→廃棄物管理→廃棄物からの再資源化→生産という循環サークルの中で、必要資源量の縮小化と資源の価値を可能な限り持続させるという資源循環型の経済を指している。EUでは、現状の線型経済モデルの継続は資源の需要量を増大させ、このままのペースで資源を消費し続けると、惑星2つ分以上の資源が必要となるという危機感から、CEの構築を推進している(EC、2016)。CEの構築により廃棄物と資源の使用は最小限に抑えられ、製品がその寿命を迎えても、リファービッシュメント(refurbishment)などによりあらたな価値を付与され、CEの中で再び使用されるという資源循環が行われる。EUでは、CEによる資源循環は大きな経済的利益特別レポート


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