東京財団政策研究所 Review No.01

公益財団法人東京財団政策研究所のリーフレットです。非営利・独立の民間シンクタンクとして、外交・安全保障、経済・社会保障、環境・社会分野の政策提言・普及活動と、国内外で実施する各種人材育成プログラムを行っています。


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05伊藤インターネットの広がりにより、内外のロングテールのニーズを取り込むことが可能になりました。例えば、今の日本の金融政策、高齢化の中での社会保障政策については、ごく少数かもしれないけれど、海外で関心を持っている人は当然いる。まずはそこにしっかり届けていくことが重要です。もちろんそれがビッグイッシューになって、まさに社会保障問題は日本がフロントランナーだから注目しようというふうになれば、それは結構なことです。しかし、リサーチを考える上で、特定の分野でのしっかりした調査分析を的確に発信していくということは一つの方向と思います。シンクタンクの役割とは―現実を知る人の言葉に耳を傾けて小林伊藤先生はシンクタンクのトップとしても松山さんの先輩にあたります。理論研究を重ねてこられる中で、日本や世界の政策についても発信するお立場になった。伊藤私が総合研究開発機構(NIRA)の理事長に就任した当時は、廃止するのか民営化するのかの選択を迫られているときで、シンクタンクはどうあるべきかについてずいぶん議論しました。シンクタンクは、短期的な事象を追いかけるディは2018年6月に著書EuroTragedy(ユーロの悲劇)を出版し、ユーロを徹底的に批判しています。それに対して、トリシェはECB総裁として誕生間もないユーロの信認確保に努めた人物ですから、ユーロを擁護する立場です。客席で聴いていてびっくりするくらい激しい戦いになるわけです。こうした、単一通貨ユーロの導入に対して激しい論争が海外で繰り広げられていることは、日本ではほとんど聞こえてきません。海外で行われている議論を日本でいろいろなかたちで発信していただくと、刺激になります。松山逆に、日本での議論を海外に伝えることも重要だと思っています。海外では日本での議論がなかなかみえてきません。日本は課題先進国です。ほかの国に先駆けて新たな課題に直面しているわけですから、海外から日本で今起きていることに対する興味は持たれているはずです。また、日本では政府や金融機関に紐づいたシンクタンクがほとんどなので、独立系のシンクタンクの存在は重要です。日本国内でどういう議論がなされているのかを海外の人が知りたいと思ったときに、最初にアクセスするのは当研究所のウェブサイトである、という状態にしたい。自分の持つコネクションを生かして、当研究所の認知度を高めることに貢献できればと思っています。ほかの国に先駆けて新たな課題に直面し解決策を模索する日本


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