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第1回 新しい地域再生政策研究会報告

September 16, 2009

研究会概要

○日 時:2009年9月8日(火)18:30-20:30
○場 所:東京財団A会議室
○出席者:
吉永 憲((株)共同通信情報企画本部次長)
松本大地((株)商い創造研究所代表取締役)
伊藤淳子((株)エイガアル代表取締役社長)
松田一彦(アークトゥリー代表)
関係省庁政策担当者
(東京財団)
井上健二(東京財団政策研究部研究員兼政策プロデューサー)
赤川貴大(東京財団政策研究部研究員兼政策プロデューサー)

議事次第

1.研究会の開催趣旨等について
2.研究会参加メンバー紹介
3.地域再生関連施策の各省の取組状況について
4.本研究会で検討すべき論点等について
5.地域再生政策に関する意見交換
地域再生政策に関するご意見
追加すべき論点 等
6.今後の研究会の予定について
7.その他

意見交換等の概要

今回は、研究会の初回にあたることから、冒頭、本研究プロジェクトの趣旨説明及び出席者の自己紹介を行った。

【本研究会の主なねらい】

地域の歴史や文化の中で育まれてきた素晴らしい素材、技術、それらを担う人材等の地域資源が日本各地に未だ多く存在しており、こうした地域ならではの「強み」を核に、「雇用の場の創出」をキーワードとして、地域社会構造の変化を踏まえた新たな地域再生政策を探ること。

その後、地域再生に関係の深い農林水産省、国土交通省及び観光庁の政策担当者から、今後の研究会での議論の基礎的な知識である「現在進めている関係省庁の施策」のうち、「まちづくり交付金」、「観光による地域振興」、「グリーンツーリズムの現状と展望」に関する施策の概要と取組の現状について説明を受けた。

関係省庁政策担当者からの施策説明の後、研究会で今後議論すべき論点として以下のとおり提示し、議論を行った。

【研究会で今後議論すべき主な論点】

○「地域再生政策」を考える上で、何に重点を置いて考えるべきか。また、これら重点事項の実現のために、どのような政策や取組を進める必要があるか。
●地域の雇用の場の維持・確保、創出
・地域で長年育まれてきた既存産業の強化、そのための持続的イノベーションの仕組みの構築
●「起業」の促進
・地域の「強み」を生かした産業(内発型産業)の起業支援や公益的起業支援
・これら支援のための仕組み
●地域の担い手の確保
・高齢者の活用、女性(主婦等の活用)、UIターン人材や若者(内外)の活用、そのための方策
●お金の地産地消
・地域産業を資金面から支える地域金融機能の強化のための方策
●地域乗数効果の高い産業構造・地域構造の形成
・そのための政策や仕組み・仕掛け
○地域産業の活性化の取組の効果をより一層の高めるための方策として、どのような政策や仕組み・仕掛けが考えられるか。
・他の政策分野との連携(観光振興、まちづくりetc)とそのための効果的な仕組み
・「連携分野」への支援施策の強化
○地域を巡る環境の変化を踏まえ、地域再生政策として、上記以外に、今後どのようなことを検討すべきか。
○その他
・現行の「地域再生」施策の課題と改善点
・地域の伝統的な技術、生活文化や祭などを持続的に継承してくための仕組み、
仕掛け 等

参加者からの主な意見

●施策の評価の仕方として、自己評価だけではなく、第3者の評価を取り込むことが大切。
●奈良や唐津のように、観光資源がありながら宿泊客の少ない地域において、観光交流の効果をより一層高めるためには、戦略的に観光客を足止めし、宿泊するお客を作っていくような取組を進めていくことが重要。
●観光交流以外にも、たとえば、地域のキャラクター商品のような物のノベルティを上手く活かして、人が来なくても収益が地域に入ってくるという方策も考えられるのではないか。
●各年代層のニーズに合った、様々な価格帯のお土産の開発や商品化の支援等にも力を入れていく必要があるのではないか。お土産研究会といった勉強会をやってはどうか。(参考:観光庁では、VJCの一環で「VJC 魅力ある日本のおみやげコンテスト」は実施中)
●地域のお土産の開発をインキュベートするような属地性のないアンテナショップのような消費者の声を受け、開発にフィードバックすることのできる基盤、場が必要ではないか。
●観光ブランドマーケティングなどを担うプロデューサー(地域の魅力を見つける「発見力」、発見したものを具体的に商品化等を行う「企画力」、企画したものをどこに発信していくかという「発信力」の3つの力を備えた人)を地域で活用するための経費などソフト面の支援を充実していくべきではないか。
(参考:観光庁では、地域の観光振興の牽引役となる人材を欲している地域と、観光地域プロデューサー希望者とのマッチングを促進する「観光地域プロデューサー」モデル事業を実施中)
●地域再生を進める上で大事なのは、地元の人が自分たちの地域を愛し、地域に誇りを持つこと、生活している人がその地域にどれだけ住みたいと思っているかが大切。そのためには地域の人に地域の魅力を再発見してもらうこと、地域の人材を育てていくことが大切で、この部分をまず国が後押しすることで、自治体を動かしていくことが必要ではないか。
●各省には様々な地域再生のための支援制度があるが、役場の人でもこれらを把握している人は意外と少ない。省庁間を横につないで、自治体の人にアドバイスしていくような仕組みが必要ではないか。
●地域のニーズに応えるなどの観点から、近年、国の支援メニューが細分化され、結果として複雑化して地域にとって分かりづらいものとなってしまっているので、類似施策などを整理し、利用しやすいものにしていく必要がある。
●論点について、地域環境の変化を踏まえた新たな地域再生政策といった場合に、コミュニティのリロケーションなども含むとすると、議論すべき対象が広範にわたり過ぎるため、焦点を絞って議論した方がよいのではないか。
●この研究会で議論する「地域再生」の「地域」について、どういう「地域」をターゲットにしているのか、議論がぼやけないように、そこをはっきりさせる方がよいのではないか。例えば、定量的にタイプ分けし、それに合った地域をモデルとして取り上げ、具体的に議論をしていくことも1つの方法として考えられる。

研究会の今後の予定

今後、月1~2回程度の頻度で、研究会を開催し、「研究会で議論すべき論点」を踏まえ、以下のようなテーマについて有識者等から意見聴取や国内外の地域再生事例調査等を行い、議論を深めていく予定です。

【有識者等から今後ヒアリング行うテーマ(案)】
○『地域の「強み」を生かした産業の活性化と地域再生』
○『地域再生の実践例から地域再生のあり方を考える』
○『地域内循環型の地域構造の形成とそのための戦略』
○『諸外国における地域の伝統的な産業の活性化に向けた取組と人材育成』
○『地域再生とそれを支える地域金融システムのあり方』 等


文責:井上

    • 元東京財団研究員
    • 井上 健二
    • 井上 健二
    • 元東京財団研究員・政策プロデューサー
    • 赤川 貴大
    • 赤川 貴大

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