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ウズベキスタンの民主主義に関する国際会議に参加しました。

■国際会議への参加

2025919日、東京財団は、ウズベキスタンの政府系シンクタンク、民主化プロセス分析センター(CADP; The Center for Analysis of Democratic Processes)からの招待を受け、同国の首都タシケントにおいて開催された、「ウズベキスタンの民主主義強化における市民社会の役割:グローバルな課題と展望」と題した国際会議 (International Conference on ”The Role of Civil Society in Strengthening Democracy in Uzbekistan: Global Challenges and Prospects”)に参加しました。本件は、民主主義の原則を推進し維持する目的で国連により制定された915日の「国際民主主義デー」にちなんで開催されたものです。セッション3「民族間の調和と共生社会:新しいウズベキスタンのスピリチュアルな道」(“Interethnic Harmony and Inclusive Society: the Spiritual Path of New Uzbekistan”)では、鈴木常務理事がウズベキスタンの上院議員とともに共同ファシリテーターを務めるともに、日本における共生社会の重要性等について発言しました。

同会議では、1991年に独立を果たしたウズベキスタンにおいて、民主化を進めるためには、その意義を市民に対し丁寧に伝え、理解を促すことや、市民社会に対する開かれた対話と参加の機会の提供、法整備・法改革やガバナンスの強化、市民社会・NGOに対する能力強化の必要性、システムのデジタル化の強化、他国や国際機関等を通じた国際的対話の重要性等が議論に上がりました。ウズベキスタンの政府機関関係者や研究者、市民社会組織の代表者のほかに、当財団を含む日本、ドイツ、トルコ、スウェーデン、スイス、ポーランド、アゼルバイジャン、カザフスタンといった国々のシンクタンクや研究所、学者等が参加しました。また、UNDP(国連開発計画)やOSCE(欧州安全保障協力機構)といった国際機関からの参加者も出席し、民主化により人々が政治に参加することで、国家の安定、経済成長、そして社会全体の繁栄につながるという共通の価値観を改めて共有する良い機会となりました。

 モデレーターを務めた鈴木真理常務理事

 
左:鈴木常務理事  中央:Azamat Pardaev CADP理事長

 会場の様子

■タシケント市内視察

タシケントは、ウズベク系、ロシア系、朝鮮系をはじめとする様々な民族や文化に溢れる多民族都市です。歴史的な雰囲気を残す旧市街には、シルクロード時代のイスラム教建築物が点在する一方、ティムール広場を中心に広がる新市街には高層ビルが立ち並び、勢いよく都市開発が進められています。

日本人にとって馴染みの深いスポットとしては、「アリシェル・ナヴォイ劇場」が挙げられます。ここは第二次世界大戦後に旧ソビエト連邦によって連行され、この地に抑留された日本人捕虜457名がその建設に従事したことで知られています。1966年のタシケント大地震の際、このナヴォイ劇場だけは壊滅せずに残ったことから、日本人の技術力の高さや建設に関する仕事ぶりが評価され、親日感情を高めるきっかけとなったとのこと。現在でもオペラやバレエの会場として使用されており、視察当日は館内の美しい手彫りの彫刻が施されたホールも見学することができました。

 アリシェル・ナヴォイ劇場

 6つの地域(タシケント、サマルカンド、ブハラなど)のモチーフを施した手彫の壁面装飾

また、市内中心部に位置する、「政治的弾圧犠牲者記念碑公園」も視察しました。国家の独立のために旧ロシア帝国及びソ連時代の政治的弾圧の犠牲者となった人々の歴史を風化させないため、2000年に記念碑が設置されました。この地において7,000名もの民間人の命が弾圧によって失われたと言われています。現在では、周囲は美しい公園となっており、歴史を伝える博物館が併設されています。

政治的弾圧犠牲者記念碑公園。奥に見える2つの青いドームが博物館になっている

■サマルカンド市内視察

国際会議の主催者であるCADPの取り計らいにより、会議に参加した国際ゲストとともに、「青の都」と称される古都サマルカンドを視察しました。まずは、ティムール帝国を築き上げた大英雄アミール・ティムールとその一族が葬られた霊廟である「グリ・アミール廟」から。青のタイルで彩られたドームが美しく、その繊細な模様の技術と壮大なスケールに、ティムールの絶大な覇権に思いを馳せずにはいられません。政治・経済・文化の中心であった「レギスタン広場」からは、ウルグベクメドレセ、ティラカリメドレセ、シェルドルメドレセと、壮大なメドレセ(神学校)が見渡せ、美しく鮮やかな金箔の天井と礼拝堂の煌びやかさに圧倒されてしまいました。


グリ・アミール廟

 ティラカリメドレセ

 レギスタン広場にて。各国からの会議参加者とともに

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今回の国際会議への参加及びウズベキスタン訪問を通じて、民主主義という共通の価値観を再認識するとともに、ハーモニー(調和)を重視するという日本とウズベキスタンの共通点や、多民族国家として異なる文化背景や習慣を持つ人々が存在する中でいかにして共生社会を築き上げていくかといった、日本で私たちが直面している外国人問題への対応にも通じるものを感じることができました。東京財団では、社会課題の解決に向け、今後とも国内外の関係者と意見交換を行いながら、連携をはかってまいります。 

最後に、今回の国際会議にご招待いただき、各種視察を通じてウズベキスタンの文化や歴史に対する理解の促進にお力添えいただいたCADPの皆様に心より感謝申し上げます。 

CADPについてはこちら
https://cadp.uz/en

 

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