医療費成長率調整メカニズム等に係る研究
人口減少や少子高齢化が進むなかで財政赤字が恒常化し、ここ数十年の間、日本の財政は厳しい状況が続いてきた。この主な原因の一つが、医療・介護等の社会保障費の膨張だが、2023年12月22日に閣議決定した「こども未来戦略」の脚注27では、雇用者報酬の伸びを医療・介護の給付の伸びが上回ることにより、保険料率が上昇していると触れられており、「若者・子育て世帯の手取り所得を増やすためにも、歳出改革と賃上げによりこのギャップを縮小し、保険料率の上昇を最大限抑制する」と記載されている。この閣議決定と医療給付費(対GDP)の関係性や、内閣府の財政等の長期推計(2024年4月)の含意を踏まえ、筆者が提唱してきた、「医療費成長率調整メカニズム」(医療版マクロ経済スライド)や「薬剤費成長率調整メカニズム」(薬剤費版マクロ経済スライド)等の政策的な実現可能性を再考する。
 
                  