資源エネルギー循環型社会の構築
2025年の参院選では減税や手取りの向上など、国民の懐をいかにして潤すかが大きな論点となっている。一方、このまま人口減少が進むと、働く人よりも支えられる人が多くなり、労働力人口減が経済にマイナスの負荷をかける「人口オーナス」の状態がさらに深刻化することが懸念され、国民の懐を潤すどころではなくなってしまう危険性がある。
人口減少下でも持続可能な社会を構築するには、大量生産、大量販売、大量廃棄という物量に軸をおいた薄利多売により成り立たせてきた従来の社会システムをあらため、社会課題の解決というニーズから新しい需要を創出し、そこに物量ではなく高付加価値化を徹底した製品やサービスを投入することで成長するという新しい社会システムに転換する必要がある。
その転換を促す有力な政策として注目されるのがGX(グリーントランスフォーメーション)である。
政府では、各種政策において人口減少に対処する施策としてGXの重要性を示しているが、GXを推進して具体的にどのような社会システムを構築するのかという具体像は十分に示されておらず、このままでは政策の実現性が危ぶまれる。
こうした問題に対処するため、本研究では、GXの推進により構築する新しい社会システムとして「資源・エネルギー循環型社会」という具体像を示すとともに、その構築に必要となる施策を提言する。
 
                  