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「技人国」の低専門化と制度再設計への政策提言

本研究は、日本の外国人受入れ制度の中心的な在留資格「技術・人文知識・国際業務」(「技人国」ビザ)に着目し、制度理念と現実の乖離がもたらす課題を検証し、制度の再定義、再設計に向けた提言を行うことを目的にしている。本来、高度人材向けに設計されたこの「技人国」ビザは、近年高い日本語能力や専門性を必ずしも必要としない職種にも適用されている事例が散見され、運用範囲が拡大し、制度理念と就労実態の間に乖離が生じつつある。こうした運用の曖昧さは、制度の信頼性を損ね、ひいては在留外国人全体に対する不信感や排外的言説を助長する温床となりかねない。
本研究では制度の再構築に向けて二つの方向性を提示する。第一に、制度本来の理念に立ち返り、在留資格の適用要件を明確化する「理念回帰型」のアプローチ。第二に、現実の労働市場の変化を踏まえ、中間技能層の安定的就労制度として再定義する「現実適応型」のアプローチである。
欧州諸国では、移民受入れをめぐる社会的緊張や統合の課題を背景に、制度の正当性や受容性を問い直す動きが進んでいる。日本においても、持続可能で社会的に受け入れられる外国人制度を再構築することが急務である。本研究は、国際的な人材流動の現実を踏まえつつ、日本社会の共生と制度的持続性に資する政策提言を目指す。

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