テレビ番組50:50PJ
本研究は、2017年より英国の公共放送BBCが実施している「50:50プロジェクト」に着目し、番組に登場する人物の男女比を可視化し、組織文化として多様性を定着させる制度設計のあり方を、日本に適した形で提案することを目的とする。
同プロジェクトは、既存の「上からの」ダイバーシティ政策とは異なり、現場主導・自主参加型により、編集の自由や番組の質を損なうことなく成功させ、世界30か国に広がった稀有な事例である。
本研究では、プロジェクトの実態調査や分析に加え、国内で唯一参加する日本放送協会(NHK)への調査を行い、日本のメディアへの転用可能性を実証的に明らかにする。さらに、報道・情報番組での運用が可能な「日本版50:50ジェンダー可視化スキーム」の提案を目指す。
「メディアは誰の声を届けるのか」。報道の多様性は、民主主義の質に直結する課題である。申請者は、約30年間テレビ局報道での勤務経験がある。実務と研究の双方にもとづく知見を活かし、現実的で実装可能なスキームを放送メディア各局に提案し、行動変容につなげたい。本研究を通じて得られる知見は、放送現場のみならず、教育・行政・企業など他領域の多様性推進施策にも応用可能なヒントを提供し、人的資源活用の政策形成に貢献しうる。