人口減少社会における地域メディア機能のあり方
地域の民主主義を下支えし、住民の安心安全や自治意識の向上に寄与し、暮らしに彩りを提供してきた地域メディア機能の維持が困難になりつつある。担い手である地方紙、ローカル局、CATV、コミュニティ放送局の経営が軒並み厳しさを増しているからだ。インターネット上には、地域に特化したポータルサイトや個人メディアなどが登場しているが、メディアとしての体制や財政基盤は未成熟である。
アメリカでは地方紙の消失が相次ぎ「ニュース砂漠」が問題となっている。日本でも、地域による情報格差の拡大や、災害情報が届かないことで生じる“命の格差”が懸念される。一方で、少子高齢化に伴う様々な課題や激甚化する災害への対応など、地域メディアの役割に期待する声は高まっている。今後、地域メディア機能を維持・進化させていくにはどのような施策が必要なのか。
本研究では、地域メディアの現在地を業界横断的に俯瞰した上で、自治体との「公民連携」、制度による「支援」、事業者の「自主努力」、地域主体での「メディア再編」の4軸で、地域メディア施策をトータルに考察する。その上で、地域が直面する様々な課題の解決や、人口減少社会における新たな地域のデザインにおいて、主体的に役割を担う地域メディアのあり方と、そこに向けた道筋を具体的に提言する。