講演概要:大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策専攻都市公共政策ワークショップ「分権時代の議会改革」

経緯

大阪市立大学大学院創造都市研究科都市政策専攻都市公共政策ワークショップ(永田潤子淳教授:東京財団研究員)の招きで、「分権時代の地方議会改革」と題した講演を行いました。関西の地方議会議員ならびに行政職員が主な参加者でした。当日の使用した資料は こちら です。

下記の概要は、参加者のお一人で高槻市議会議員の二木洋子さんが執筆してくださいました。

概要

日時:2009年5月14日
場所:大阪市立大学梅田キャンパス
スピーカー:東京財団 赤川貴大プログラム・オフィサー
文責:二木洋子(高槻市議会議員)

1.地方分権

・2005年には1億2700万人の人口であったが、少子高齢化が進み、2055年には人口は8200万人に減少する予測である。これは、1年に90万人(香川県の人口)が減少することになる。
・一方、国と地方の債務は800億円あり、1世帯あたり2000万円となっている。
・地方の現状は、転換期であり、お金を出す時代から知恵の時代になった。
・高齢者福祉、子育て、教育などでは、住民からは質の高い行政サービスが求められるようになり、霞ヶ関には知恵はない。地方自治体の現場に知恵があって、議会が大切な意見を集約して決定していく時代になった。

2.議会改革

・60年代、70年代の「革新自治体」では、社会党、共産党の支援を受けた首長は、中央の自民党へのアンチ・テーゼで誕生したが、そのうち新鮮さがなくなった。
・その後、行政、議会に都合のいい首長を”談合的”に選出するようになったが、これは当事者だけの合意で選ばれた首長で、市民の支持は得られなかった。
・このような状況のもとで、「改革派」と名乗る首長が現れた。北川三重県知事、浅野宮城県知事、橋本高知県知事などであるが、いずれも全国的な知名度とカリスマ性を備えた首長であった。
・都道府県レベルだけでなく、市レベルでも、続々と「改革派首長」が現れたが、「東京財団地方自治体のガバナンス研究」の分類によると、「手練手管型」、「原理主義」、「協議一体型」、「行政マン型」に分けられる。
・地方議会は、よくチェック機関といわれるが、物事を決める議決機関であり、議会で決めたとおりにちゃんとやっているかどうかのチェックをする機関である。
・住民の議会への関心は、議員報酬、政務調査費、議会の開会時間などである。
・日本世論調査会の調査では、議員は何をやっているのかわからないという住民が多い。
・「議会改革」の手法を大きく二つに分けると、自分たちでガバナンス(統治)する力を高めていこうとする「自治派」と、コストパフォーマンス(費用対効果)のいい方法を好む「行革派」がいる。
・議会改革は、「自治力を強める」「効率性」という2つの視点から考えて整理すべきである。
・「自治派」のアプローチのひとつとして、「議会基本条例」が代表的である。2006年北海道栗山町で初めてできたが、情報公開と住民参加をうたったもので、以後、現在まで54自治体で制定されている。しかし、自治の概念をはずれ、首長と議会の仕組みのみをうたった条例もたくさん出てきている。
・栗山町の場合、議会主催の住民対話集会が開かれることにより、議員も説明責任が問われ、勉強するようになったし、住民も傍聴に行ったり、議会だよりを読んだり、支援していない議員にも電話するなど、大きな効果があがっている。
・「行革派」のアプローチは、議員活動がよくわからないという住民に対して、報酬や政務調査費の見直しを進めるなどして議員活動の透明化をはかろうとしているが、議会活動、政治活動、選挙活動の線引きが難しい。

3.地方自治体のあり方

・日本の地方自治体の二元代表制はアメリカの大統領制とは似て非なる制度であり、このような制度を取り入れている国はない。
・また、現在の二元代表制は権力に対する理念がはっきりせず、憲法制定時から、この問題点は議論されていた。
・イギリスやスウェーデンの地方議会を視察したが、自治制度にはさまざまな仕組みがあり、日本でも、自治体が自治の仕組みを選択できるようにしてはどうだろうか。
・なお、最近、穂坂邦夫前志木市長が唱えた「シティマネージャー制度」もあるが、これは特定の問題解決が急務な小規模自治体では有効であると考える。